来週の金融市場見通し(2022年3月21日~2022年3月25日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月15、16日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、事前の予想通り政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.0~0.25%から0.25~0.5%に、0.25%引き上げました。また、早ければ5月の会合で量的引締め(保有資産の縮小)開始が決定されることも示唆され、米金融政策をめぐる不透明感が後退する格好となりました。しばらくは、ロシアとウクライナの停戦交渉や内外の経済指標などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :上値余地を探る

日本株は、不安定ながらも上値余地を探る展開が予想されます。米金融政策をめぐる不透明感がひとまず和らいでいることが、内外の株価を支える見通しです。また、ロシアとウクライナの停戦交渉への期待が高まった場合は、株価が大幅に上昇する可能性もありそうです。とはいえ、紛争の継続や資源高による世界経済の減速が警戒される中、停戦交渉の行き詰まりや原油高が株価を圧迫する可能性もあるため、それらの動きには要注意です。

◆長期金利 :一進一退

FOMCでは2018年12月以来の利上げが決定されたことに加え、今年7回の利上げ見通しが示されました。米長期金利は一旦上振れたものの、その後は上昇が一服しており、国内の長期金利の上昇も小幅にとどまりました。英中銀も3会合連続で利上げするなど、欧米の中銀が金融引締めに積極的なタカ派的な姿勢に傾く一方、日銀は大規模な金融緩和を堅持しました。しばらく国内の長期金利は一進一退の動きが続きそうです。

◆為替 : ドル堅調地合いも上値は限定的

ドル円は、FOMCの結果を受け、米金利が上昇したことから一時119円台に乗せるなど、上昇圧力の強い状況です。とはいえ、FRBは利上げを開始し、今後毎会合での利上げを示唆するなど、一通りの金融政策の道筋を示したことから、一旦材料出尽くし感が市場に広がっており、来週はドル円の上昇にも一服感が出そうです。また、ウクライナ情勢に改善の兆しがみられ、有事のドル買いの動きが鈍れば、ドル円の上値は抑えられそうです。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は、週前半はウクライナ情勢への警戒などから売りに押されましたが、週央以降は持ち直し、1,900ポイント台を回復しました。東京都などへのまん延防止等重点措置が解除される見通しになったことや、GoToトラベルへの期待は下支え材料です。また、米金融政策をめぐる不透明感が後退したこと、内外の長期金利の上昇が一服していることも安心材料です。とはいえ、ウクライナ情勢には引き続き注意が必要です。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(3月) 3月25日(金)午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、2月に前年比0.5%上昇となりました。電気代やガス代などエネルギー価格の上昇が主要因となり、1月の同0.2%上昇から伸びが拡大しました。

3月の東京都コアCPIは、前年比0.7%の上昇が予想されます。原油高などを受け、エネルギー価格の上昇が加速したとみられます。なお今後は、携帯電話通信料の値下げによる影響が一巡することなどから、コアCPIの上昇率は4月以降に一段と高まる見通しです。

ユーロ圏製造業PMI(3月)  3月24日(木)午後6時発表

2月のマークイットユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は58.2と、昨年6月のピークからは若干低下しているものの、一昨年の7月以来、活動の拡大縮小の境目となる50を上回る状況が続いています。また、総合PMIも55.5となり、昨年の3月以来12か月連続で50を上回りました。

ユーロ圏は、新型コロナの対策に伴う制限措置の緩和を受け、需要が拡大する中、供給の目詰まりも徐々に緩和しており、受注や雇用の増加を後押しした模様です。しかし足元、ウクライナ情勢の緊迫化を背景に、エネルギーや原材料価格の高騰が続いており、今後は製造業、総合ともPMIは高水準ながら、伸びが緩やかになる見通しです。

 

 

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