来週の金融市場見通し(2022年2月28日~2022年3月4日)

■来週の見通し

ロシアは、ウクライナ東部の親ロ派支配地域に平和維持の名目で軍を派遣するだけにとどまらず、首都キエフも攻撃するなど、大規模な軍事侵攻を開始しました。大きく下落していた米株式市場は24日には一旦反発しましたが、投資家の不安心理を表すVIX指数は高止まっており、警戒感は後退していません。他方、地政学リスクの高まりを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)が金融引締めペースを緩めるとの期待もくすぶります。とはいえ、落としどころが見えるまでは不安定な動きが続く可能性があります。

◆株価 :引き続き不安定に

日本株は、引き続き不安定な動きが予想されます。ロシア軍のウクライナ侵攻を受け日経平均株価は一時急落したものの、米欧によるロシアへの経済制裁が強化され、エネルギー高がさらに加速しない限り、当面、内外の株価下落は限定的となりそうです。また、金融市場の混乱を受け米国の利上げペースが抑制される、との観測も株価を支援しそうです。ただ、ウクライナ情勢をめぐる不透明感は極めて強く、神経質な相場が続く見通しです。

◆長期金利 :居所を探る

ウクライナ情勢の緊迫化を受け、安全資産とされる国債を買う動きが広がり、長期金利は22日には約2週間ぶりに0.2%を下回りました。地政学リスクへの警戒やFRBが金融引締めペースを緩めるとの期待が、金利上昇を抑制するとみられますが、原油高などを受け、インフレ圧力が強まると、長期金利を押し上げることも想定されます。来週は、10年国債、30年国債入札や、パウエルFRB議長の議会証言なども確認したいところです。

◆為替 : 小幅なドル安・円高か

ドル円は、小幅なドル安・円高が予想されます。ウクライナ情勢の緊迫化によるリスク回避の動きから、米長期金利がやや低下していることに伴い、ドルの上値が重くなる見通しです。金融市場の混乱を受け、米FRBの利上げ姿勢が若干慎重化する可能性があることも、米長期金利やドルの上昇を抑える見込みです。ただ、米国の高インフレに伴うFRBの利上げ方向に変わりはないとみられるため、ドルの底堅さも示されそうです。

◆Jリート :ウクライナ情勢の落ち着き待ち

東証REIT指数は、ウクライナ情勢の緊迫化を受け、売りに押される展開になりました。ただ、新型コロナの感染拡大が鈍化していることに加え、22日に日銀がJリートを買い入れたことや、長期金利の上昇が一服していることは安心材料です。予想分配金利回りも3.9%前後まで上昇しており、相対的に高い利回りに着目した買いも期待できます。とはいえ、ウクライナ情勢が落ち着くまでは不安定な動きが続く可能性があり注意が必要です。

来週の注目点

鉱工業生産指数(1月、速報値) 2月28日(月)午前8時50分発表

鉱工業生産指数は昨年12月に前月比1.0%低下し96.5(2015年=100)となりました。前月に大幅上昇となった反動で、3か月ぶりに低下しました。ただ、四半期ベースでは、10-12月期に前期比1.0%の上昇となりました。

1月の鉱工業生産指数は、前月比で小幅な低下が見込まれます。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に、自動車関連などのサプライチェーン(供給網)の混乱が続いていることなどが、生産を圧迫した模様です。今後も当面、日本を含むアジアにおける感染拡大などを背景に、鉱工業生産の回復は鈍いものにとどまる見通しです。

米雇用統計(2月) 3月4日(金)午後10時30分発表

1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比46万7,000人増となり、市場予想を大きく上回りました。一方、失業率は4.0%と前月の3.9%からやや上昇しました。娯楽・ホスピタリティー分野などに加え、運輸、小売りなどでも雇用が増加した模様です。

米国では、新型コロナの感染者数がピークアウトしたとみられる中、労働需給のひっ迫が継続しており、今後も労働市場の改善は継続すると見込まれます。2月の非農業部門雇用者数は前月比40万人増程度、失業率は3.9%程度を想定しています。

 

 

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https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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