来週の金融市場見通し(2022年2月21日~2022年2月25日)

■来週の見通し

ロシアがウクライナ国境付近に展開する軍部隊の一部撤収を発表したことを受け、投資家のリスク選好が一旦強まりましたが、ロシアがゴーマン米次席公使を追放したと伝えられたことや、ウクライナを近いうちに侵攻する可能性は極めて高いとバイデン米大統領が述べたことを受け、緊張が再び高まるなど、ウクライナ情勢に振らされる展開が続いています。来週は、ウクライナ情勢に加え、米金融当局者の金融政策をめぐる発言や米個人消費支出などの経済指標、またコロナの動向なども確認したいところです。

◆株価 :不安定な展開に

日本株は、不安定な展開が予想されます。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が警戒される中、それをめぐる情報に対し神経質に反応する展開が見込まれます。軍事侵攻がさらに現実的となった場合、株価が大きく下落する可能性もあるため、注意が必要です。一方、侵攻への懸念が和らいだ場合には、株価は一時反発しそうです。ただ、米国のインフレや金融引締めに対する懸念も根強いため、日本株の一方的な上昇は見込みにくい状況です。

◆長期金利 :居所を探る

日銀は、長期金利の上昇を抑制するため、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる指値オペを発動しました。ただ、10年国債を利回り0.25%で買い取る指値オペには応札はなく、長期金利は0.21%前後までの低下にとどまりました。欧米の中央銀行が一段とタカ派にシフトする中、日銀の政策変更への思わくは依然としてくすぶり、長期金利は低下しにくくなっています。ウクライナ情勢も確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 : ドル高地合いも動きは鈍そう

ドル円は、堅調地合いは続くものの、上昇余地も限られ、方向感の乏しい展開が続きそうです。米国ではインフレ高進が続く中、早期金融引締め観測がますます高まっており、米長期金利は2%前後まで上昇しています。それを受け、ドル円も引き続き堅調地合いが続くことが想定されます。ただ、米日株価は、変動性の高い展開が続いていること、ウクライナ情勢も緊迫した状況が続いていることなどから、ドル円の上昇余地も限られそうです。

◆Jリート :不透明感が強い中、底堅い動きが継続

東証REIT指数は、地政学リスクの高まりや米金融政策への警戒感から売りに押されたものの、1,900ポイント割れの水準では押し目買いも入り、底堅く推移しました。日銀が指値オペを発動し、長期金利の上昇を抑制する姿勢を示したことや、約11か月ぶりにJリートを買い入れたこと、また新型コロナの感染拡大に鈍化の兆しがでてきていることは安心材料です。ただ、米金融政策やウクライナ情勢には引き続き注意が必要です。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(2月) 2月25日(金)午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、1月に前年比0.2%上昇と、5か月連続の上昇となりました。ただ、宿泊料の上昇幅が縮小したことなどを受け、コアCPIは昨年12月の同0.5%上昇から伸びが鈍化しました。

2月の東京都コアCPIは、前年比0.3%程度の上昇が予想されます。電気代・都市ガス代などエネルギー価格の上昇が見込まれる一方、携帯電話通信料の下落などがコアCPIの上昇を抑制する見通しです。ただ、今後は、携帯電話通信料の値下げによる影響が一巡するにつれ、4月以降にはコアCPIの上昇率が顕著に高まる見通しです。

米個人消費支出(1月) 2月25日(金) 午後10時30分発表

昨年12月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.6%減とほぼ市場予想通りながら、昨年2月以来の大幅減となりました。新型コロナウイルス感染拡大とインフレ高進を受け、消費者が支出を抑制した模様です。他方、物価指標として注目されるPCE総合価格指数は前年比5.8%上昇と、1982年以来の大幅な伸びとなりました。

米国での新型コロナ感染拡大はすでにピークに達したとみられており、その影響は短期間にとどまる可能性があります。1月のPCEは前月比0.8%増程度、PCE総合価格指数は前年比6.0%程度の上昇が見込まれます。

 

 

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