来週の金融市場見通し(2022年1月31日~2022年2月4日)
■来週の見通し
米連邦公開市場委員会(FOMC)で3月の利上げ開始が示唆されたことは想定内も、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長がこれまで以上に金融引締めに前向きな姿勢を示したことから、米金融政策をめぐる不透明感が強まりました。しばらくは、米金融当局者の発言や経済指標などで、利上げ回数や保有資産を圧縮する量的引締めの開始時期などを占うことになりそうです。コロナの動向に加え、本格化している企業決算発表や米雇用統計なども確認したいところです。ウクライナ情勢にも注意が必要です。
◆株価 :持ち直しの動き
日本株は、持ち直しの動きを示す可能性が高いとみられます。日経平均株価は、米国の金融引締め懸念を受け、一時約1年2か月ぶりの安値をつけました。しかし米国株と比べた日本株の割安感などを踏まえると、最近の株価急落は行き過ぎとみられ、値ごろ感に着目した買いが当面優勢となりそうです。ただ、原材料高などによる業績への影響が懸念される中、本格化した国内企業決算の内容次第では、市場が不安定になる場面もありそうです。
◆長期金利 : 米長期金利の落ち着き待ち
長期金利は0.1%台前半でのもみ合いが続いていましたが、パウエルFRB議長のタカ派的な発言を受け、米金利が上昇し、国内の長期金利も0.165%まで上昇しました。米金融市場では、今年の利上げ回数の織り込みが5回程度まで引き上がっています。米長期金利が今年4回を上回る利上げを織り込み、ある程度落ち着いてくれば、国内の長期金利の上昇も抑制されるとみられます。10年国債、30年国債入札も確認したいところです。
◆為替 : 上昇圧力強い
1月のFOMCで、3月以降、会合ごとに利上げを決定する可能性を排除しないなど、インフレ抑制に向けた強い姿勢が示唆されたことで、米短中期金利中心に上昇しており、ドル円も115円台前半に上昇しています。ドル円は、当面、上昇圧力の強い状況が続きそうです。ただ、早期利上げ観測を背景に米日株価が大きく調整する中、リスク回避の動きから、逃避通貨とされる円買いが優勢になると、ドル円の上値を抑えることもありそうです。
◆Jリート :引き続き戻りを探る
東証REIT指数は、値ごろ感からの買いなどから堅調な地合いが継続しました。FOMCの結果を受け、株式市場が急落し、逃避資金がJリート市場に流入したことも、東証REIT指数を押し上げたとみられます。株式市場と比べた割安感は後退していますが、予想分配金利回りは3%台後半で推移しており、利回り面での魅力は相対的に高い状況です。新型コロナのオミクロン株の感染拡大が鈍化してくると、安心感が広がる可能性があります。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(12月、速報値) 1月31日(月)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は11月に前月比7.0%上昇し97.5(2015年=100)となりました。半導体など部品の不足が和らいだことを受け自動車工業が同43.7%増と急回復し、鉱工業生産の伸びをけん引しました。
12月の鉱工業生産指数は、前月比上昇が見込まれるものの、小幅な伸びにとどまりそうです。自動車工業の急回復が一巡しつつあることなどが、伸びを抑制したとみられます。なお、1月以降は、新型コロナウイルスの感染急拡大などを受け国内景気の先行き不安が強まる中、当分の間、生産回復は勢いを欠くものになる見通しです。
米雇用統計(1月) 2月4日(金)午後10時30分発表
12月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比19万9,000人増にとどまり、市場予想を大きく下回りました。一方、失業率は3.9%と前月の4.2%から低下し、市場予想を上回る改善となりました。製造業、建設業のほか、娯楽・ホスピタリティー分野などでも雇用が増加した模様です。
今後も米国の労働市場の改善は継続するとみられるものの、昨年12月以降、米国においてオミクロン株の感染者数が急増していることから、その影響が注目されます。1月の非農業部門雇用者数は前月比17万8,000人増程度、失業率は3.9%程度を想定しています。
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