来週の金融市場見通し(2022年1月10日~2022年1月14日)

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC、12月開催)議事要旨では、想定以上に金融引き締めに積極的なタカ派的姿勢が示され、内外の金融市場はやや不安定な動きになりました。来週は11日に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の再任指名承認公聴会が開かれます。今後のインフレへの対応や金融政策の見通しが示されるかが注目されます。米金融当局者の発言や米消費者物価指数(CPI)などの経済指標に加え、14日からスタートする米銀の2021年10-12月期決算発表なども確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が予想されます。米国の早期金融引締め観測のほか、日本などにおける新型コロナウイルスの感染急拡大が、投資家心理の重しとなりそうです。とはいえ、感染拡大による世界景気への影響は限定的との見方が現時点では優勢であることや、為替が円安へ振れていることを踏まえると、日本株の一方的な大幅下落は想定しにくい状況です。また、米国株と比べた割安感も日本株を下支えすると見込まれます。

◆長期金利 : 一段の上昇は限定的か

12月のFOMC議事要旨で、従来の想定より早い利上げや、米国債などの保有資産の規模を縮小する量的引き締めの早期開始が示唆されたことから米長期金利が上昇し、国内の長期金利も0.13%程度と昨年3月以来の水準まで上昇しました。引き続き、米長期金利をにらみながら居所を探ることになりそうです。ただ、昨年の終値ベースでの最高水準は0.15%で、この水準に近づくと押し目買いも強まり、一段の金利上昇は抑制されそうです。

◆為替 : 徐々に下値切り上げ

ドル円は徐々に下値を切り上げる展開が見込まれます。FOMC議事録において、従来想定より早期に利上げを行う可能性や量的引き締めについての言及がみられたことから、米長期金利が1.7%台まで上昇しています。それを受け、ドル円は堅調な推移を続けており、今後もじりじりと下値を切り上げる展開が見込まれます。とはいえ、米長期金利の大幅上昇を受け、米日株価が大きく調整すると、ドル円の上値を抑えることもありそうです。

◆Jリート :落ち着き待ち

東証REIT指数は、4日には約2か月ぶりの高値まで上昇しましたが、米長期金利の上昇をきっかけに投資家のリスク回避姿勢が強まり、上げ幅を縮小する動きになりました。国内の長期金利の上昇も重しになった模様です。もっとも、国内の長期金利の一段の上昇は限定的とみられます。新型コロナの感染拡大には注意する必要がありますが、米長期金利の上昇が一服し、株式市場が落ち着いてくれば、押し目を探る動きも広がりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(12月) 1月12日(水)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、11月に前月差0.8ポイント上昇の56.3となりました。新型コロナウイルスの感染をめぐる不確実性が残る中、小幅な上昇にとどまりました。

12月の現状判断指数も、小幅な上昇が見込まれます。経済活動の正常化期待などを受け、家計動向関連の改善傾向が続いたとみられます。また、サプライチェーン(供給網)の混乱が和らぐ兆しがみられる中、企業動向関連も改善傾向を示す見込みです。ただ、足元、国内でも感染拡大が顕著になりつつあるため、今後については、景況感が再び悪化する可能性があります。

米消費者物価指数(12月) 1月12日(水)午後10時30分発表

11月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比6.8%の上昇となり、1982年以来の大きな伸びとなりました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同4.9%上昇となり、やはり1991年以降で最大の伸びとなりました。前月に続き、ガソリンや住居費、自動車などの上昇が顕著でした。

新型コロナのオミクロン株感染拡大への懸念があるものの、米国のサプライチェーンの混乱が続く中、生活必需品を中心に価格上昇は続きそうです。12月は総合で前年比7.1%程度の上昇、コアは同5.4%程度の上昇を想定しています。

 

 

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