来週の金融市場見通し(2021年10月18日~2021年10月22日)
■来週の見通し
国際通貨基金(IMF)は最新の経済見通しで、供給網の混乱などを背景に、2021年の世界の成長率見通しを5.9%と、7月の予測より0.1ポイント引き下げました。日本の成長率見通しについては2.4%と、緊急事態宣言が長引いた影響で前回より0.4ポイント引き下げました。他方、岸田首相が金融所得課税の見直しについて、「当面は触ることは考えていない」と述べたことを受け、税率引き上げへの懸念は後退しました。来週は、衆院選の動向に加え、内外の経済指標や企業の決算発表なども確認したいところです。
◆株価 :上値の重い展開か
日本株は、上値の重い展開が予想されます。日経平均株価は10月上旬に2万7千円台へ下落した後、足元、買戻しの動きが優勢となっているものの、多くの懸念材料が残る中、一段の株高は限定的とみられます。特に世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱や、米国などのインフレ懸念が株価を圧迫しそうです。また、中国などで経済指標の発表が相次ぐほか、米企業の決算発表が本格化するため、それらの内容を見極める必要があります。
◆長期金利 :引き続き米長期金利にらみ
長期金利は、原油高などを背景にしたインフレ加速への懸念から、12日には0.09%と約5か月ぶりの高水準をつけました。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、テーパリング(量的緩和の縮小)を11月半ばか12月半ばに開始し、来年半ばに終了するとの見方が示されましたが、影響は限定的でした。引き続き米長期金利の動きをにらみながら、居所を探ることになりそうです。20年国債入札も確認したいところです。
◆為替 :底堅い
米金融政策の早期正常化の見通しを背景に、米短中期金利が高止まりしており、ドル円は底堅い展開となりそうです。また、9月の米消費者物価指数が市場予想比で上振れしており、米国のインフレ高進が一過性でない可能性もあります。それを受け、ドル円の下値は限定的とみられます。他方、米国の早期利上げ観測が、米景気回復を阻害するとの見方などから、米長期金利の上昇が一服しており、現行水準からの上昇幅も限られそうです。
◆Jリート : 2,100ポイント乗せをうかがう
Jリート市場は、金融所得課税の引き上げへの警戒が後退し、投資家心理が上向いたことや、米長期金利の上昇が一服したことを受けて、買いが優勢になりました。9月の東京都心のオフィス空室率が上昇したものの、影響は限定的でした。国内の長期金利の上昇も一服しており、引き続きJリートの相対的に高い分配金利回りに着目した買いが期待できます。また、緊急事態宣言解除後の経済正常化への期待も、市場を下支えしそうです。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(9月) 10月22日(金)午前8時30分発表
8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比で横ばいと、1年1か月ぶりに前年比マイナスから脱しました。携帯電話通信料などが下落した一方、ガソリンや宿泊料などが上昇しました。
9月のコアCPIは、前年比で小幅な上昇が見込まれます。特に、原油高を背景にガソリンなどエネルギー価格がCPIを押し上げるとみられます。なお、10月以降については、緊急事態宣言の解除に伴うサービス需要の持ち直しも見込まれるため、CPIは緩やかな上昇基調で推移する見通しです。
米鉱工業生産(9月) 10月18日(月)午後10時15分発表
8月の米鉱工業生産指数は、総合で前月比0.4%の上昇、製造業で同0.2%上昇と両指数とも市場予想を下回る伸びにとどまりました。原材料や部品の供給不足等、サプライチェーンの混乱が続いていることに加え、ハリケーン・アイダ襲来による工場閉鎖などが影響した模様です。また、鉱工業の設備稼働率は76.4%となりました。
9月は引き続きサプライチェーンの混乱などが続く中、総合で前月比0.2%程度の上昇、製造業は同0.3%程度の上昇、設備稼働率は76.5%程度が見込まれます。
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