来週の金融市場見通し(2021年10月11日~2021年10月15日)

■来週の見通し

米国の与野党が米連邦政府の債務上限問題をめぐり、12月初めまで債務上限を短期的に引き上げることで合意し、米国債がデフォルト(債務不履行)することへの懸念がひとまず後退しました。来週は、国内では14日に臨時国会会期末を迎え、衆院が解散されます。衆院選は19日公示、31日投開票の予定で、衆院選をめぐる思わくに振らされることには注意が必要です。米連邦公開市場委員会(FOMC、9月開催)議事要旨、9月の米消費者物価指数(CPI)に加え、米銀の決算発表なども確認したいところです。

◆株価 :上昇基調か

日本株は、上昇基調を示す可能性が高いとみられます。政権移行に伴う株価の変動が一巡しつつある中、当面、外部環境の落ち続きが株価を押し上げる見通しです。特に、米政府の債務問題への懸念が一旦後退したことなどによる米国株の反発が、好材料となる見込みです。中国本土株や香港株が底堅い動きを見せていることも、市場ムードの改善に寄与しそうです。ただ、中国の不動産会社をめぐる警戒は残っており、その動向には要注意です。

◆長期金利 :米長期金利にらみ

長期金利は、中国恒大集団の資金繰り懸念や米債務上限問題を警戒し一旦低下しましたが、原油高によるインフレ観測の強まりや米長期金利の上昇を受け、0.08%と約4か月ぶりの水準まで上昇しました。米金融政策の正常化に向けて、米長期金利が1.6%を試す動きになると、金利上昇圧力がかかる可能性があります。ただ、押し目買いも入るとみられ、一段の上昇は限定的になりそうです。30年国債、5年国債入札も確認したいところです。

◆為替 :堅調な展開

米金融政策の早期正常化の見通しや原油価格の上昇を背景に、米国の中長期金利は強含みで推移しており、ドル円は来週も堅調な展開となりそうです。また、米国政府の債務上限問題が短期的にとはいえ、懸念が後退したことは、ドル円の押し上げ要因です。ただ、原油価格の上昇を受け、世界経済への悪影響が懸念されることから、日米株価の動きによってはリスク回避の動きが優勢となり、ドル円の上値を抑えることもありそうです。

◆Jリート : 戻りを探る

東証REIT指数は、一時2,000ポイントを割り込む場面があったものの、押し目買いも入り、その後は値を戻しました。長期金利にやや上昇圧力がかかっていますが、Jリートの分配金利回りは依然として長期金利を大きく上回っています。また、東証REIT指数は2,100ポイントを大きく下回っており、値ごろ感からの買いも市場を支えるとみられます。緊急事態宣言後の経済正常化の進展なども確認しながら、戻りを探ることになりそうです。

来週の注目点

機械受注(8月) 10月13日(水)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、7月に前月比0.9%増の8,597億円となりました。ただし、製造業が同6.7%増となった一方、非製造業は同9.5%減と、業種による違いが鮮明となりました。

8月の機械受注も、前月比で増加が見込まれます。ただ、アジアにおけるサプライチェーン(部品などの供給網)の混乱などのため、製造業の受注増は小幅なものにとどまりそうです。一方、非製造業については、新型コロナウイルスの感染拡大が一服した後の景気回復をにらんだ投資などにより、持ち直しの動きを示す見込みです。

米消費者物価指数(9月) 10月13日(水)午後9時30分発表

8月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比5.3%の上昇となり、市場予想通りとなりました。また、変動の大きい食料、エネルギーを除くコアCPIは同4.0%上昇となり、市場予想を下回りました。

8月は、中古車価格、航空運賃、宿泊費、レンタカー料金などが前月比で下落しており、新型コロナ感染拡大の影響によるものとみられます。とはいえ、原材料や部品等のサプライチェーンの混乱や人件費等の上昇は続いており、当面、米国のインフレ率は高水準を維持するものと想定されます。9月は総合で前年比5.3%程度の上昇、コアは同4.1%程度の上昇が見込まれます。

 

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