来週の金融市場見通し(2021年10月4日~2021年10月8日)
■来週の見通し
米議会上下院がつなぎ予算案を可決し、政府閉鎖が避けられることになりました。今後は難航している債務上限引き上げや歳出法案の交渉が注目されます。他方、国内では自民党の新総裁に岸田氏が選ばれました。4日に国会の首相指名選挙を経て新内閣が発足し、11月前半には衆院選の投開票が見込まれ、閣僚人事や衆院選、また具体的な政策に関心が移ります。来週は、米長期金利の動きやサプライチェーン問題などもにらみながら、方向感を探ることになりそうです。週末の米雇用統計も確認したいところです。
◆株価 :緩やかな上昇基調か
日本株は、緩やかな上昇基調が予想されます。日経平均株価が1週間で1,500円近く下落したことから、値ごろ感による買いが株価を押し上げる見通しです。また、次期政権による経済対策への期待は根強いとみられることも、日本株を支える見込みです。ただ、米国ではインフレ懸念や金利上昇などから株価が軟調となっていることに加え、中国における景気減速や不動産会社をめぐる懸念などが、日本株の上値を抑える場面もありそうです。
◆長期金利 :上昇一服
米国や英国の金融政策の正常化観測から、米長期金利が1.5%台まで大きく上昇したことを受け、国内の長期金利も一時0.07%と、6月9日以来の水準まで上昇しました。日銀の10-12月期の長期国債買入れオペの四半期予定は、前回から据え置かれました。来週は、米長期金利の上昇が一服していることに加え、米連邦政府の債務上限問題や中国経済の下振れリスクなどへの警戒がくすぶることから、一段の長期金利の上昇は限定的とみられます。
◆為替 :ドル高地合いも動きは鈍そう
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降の米長期金利の上昇を受け、ドル円も112円程度まで上昇しました。しかし、同金利の上昇に一服感が広がる中、ドル円相場にも一旦の達成感があり、当面は上値の重い展開が続きそうです。とはいえ、米長期金利は1.5%程度の水準で小動きとなっていることから、ドル円の下値余地も限定的とみられます。当面は、111円から112円を中心としたレンジ内で、一進一退の動きが見込まれます。
◆Jリート : 金融市場の落ち着き待ち
自民党総裁選を通過し、新政権への期待から広がっていた買いが一服したこと、また米金利の上昇や中国の景気減速への懸念を背景に、株式市場が不安定になり、投資家心理が悪化したことから、Jリート市場も大きく値を下げる動きになりました。新型コロナの感染者数が減少する中、緊急事態宣言解除を受けた経済正常化の期待は下支え材料です。長期金利上昇も一服しており、株式市場が落ち着いてくると、戻りを探る動きになりそうです。
■来週の注目点
景気ウォッチャー調査(9月) 10月8日(金)午後2時発表
景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、8月に前月差13.7ポイント低下の34.7となりました。新型コロナウイルスの全国的な感染急拡大を受け、特に飲食関連などの景気判断が大幅に悪化しました。
9月の現状判断指数は、上昇が見込まれます。新規感染者が減少傾向となったことなどが、景気判断の改善に寄与しそうです。とはいえ、緊急事態宣言は9月末まで続いたことや、企業部門についてはサプライチェーン(供給網)の混乱が生産を阻害していることから、9月における景気判断の改善は小幅なものにとどまる見込みです。
米雇用統計(9月) 10月8日(金)午後9時30分発表
8月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比23万5,000人増となり、大幅に市場予想を下回りました。一方、失業率は5.2%と前月より低下しました。製造業の雇用者数は増加したものの、新型コロナ感染拡大が続く中、飲食や小売業中心に雇用が減少した模様です。
米国の新型コロナの感染拡大は依然懸念されるものの、感染拡大にピークアウト感がみられることから、今後は飲食・娯楽等ホスピタリティー分野を中心に再び雇用増が見込まれます。9月の非農業部門雇用者数は前月比50万人増程度、失業率は5.1%程度を想定しています。
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