来週の金融市場見通し(2021年7月26日~2021年7月30日)

■来週の見通し

米国や英国など新型コロナウイルスのワクチンが普及した国でも、新規感染者が増えてきており、米国では行動規制を強化する動きが広がっています。国内でも、東京都の新規感染者数が20日には1,387人と、火曜日としては過去最多となりました。東京五輪をきっかけとした感染増加への懸念もくすぶります。来週は、コロナの動向や本格化する主要企業の決算発表に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)での、米国債などを買い入れる量的緩和の縮小(テーパリング)についての議論も確認したいところです。

◆株価 :方向感を欠く

日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。変異ウイルスの感染拡大に伴う世界景気の減速懸念が、株価の上値を抑える見通しです。東京五輪が始まるものの、御祝儀ムードよりも感染拡大懸念が優勢になりそうです。とはいえ、中国景気については底堅さが示されており、また、本格化した米国の企業決算は、総じて良好な結果が予想されます。よって、世界景気への過度な警戒感で日本株が下落する場面では、買戻しの動きが見込まれます。

◆長期金利 :一段の低下は限定的か

新型コロナの感染拡大への警戒から、安全資産とされる国債に買いが入り、長期金利は0.005%と約6か月半ぶりの水準まで低下しました。ただ、低下し過ぎとの見方も出てきており、一段の低下は限定的とみられます。FOMCは現状維持の見込みですが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見で、テーパリング開始について何らかの示唆があった場合には、米長期金利が不安定な動きになる可能性もあり注意が必要です。

◆為替 :上値重く、下値模索か

米国では、物価上昇圧力が根強い中、新型コロナウイルスのデルタ株の急激な感染拡大などにより、再び経済成長に懸念が生じています。米国をはじめ、先進国株価は調整しており、市場ではリスク回避の動きがやや優勢になっています。それらを受け、米長期金利は1.2%程度まで低下していることから、ドル円の上昇余地は限定的とみられます。さらに来週、リスク回避の動きが強まると、ドル円は108円台に下落する可能性もありそうです。

◆Jリート :底堅い動きが継続

週前半は、新型コロナの感染拡大への警戒から、投資家心理が悪化し、株式市場とともにJリート市場も売りに押される展開になりましたが、週央は押し目買いも入り下げ止まりました。米長期金利が一時1.2%を下回るなど、大きく低下してきていることや、国内の長期金利も0%に迫る動きになっていることから、利回り商品としてのJリートの投資妙味は増しています。新型コロナの感染拡大は重しながら、底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

失業率、有効求人倍率(6月) 7月30日(金)午前8時30分発表

5月の失業率は3.0%と、前月の2.8%から悪化しました。緊急事態宣言の発令などを背景に、昨年12月以来の3%台となりました。ただ、有効求人倍率(求職者1人あたりの求人件数)は1.09倍と、前月から横ばいでした。

6月は、失業率、有効求人倍率とも、前月並みの水準が見込まれます。東京などの緊急事態宣言は6月下旬に一旦解除されたものの、新型コロナウイルスの感染が続く中、企業の採用意欲は依然慎重とみられます。緊急事態宣言は7月に再発令されたため、宿泊・飲食などを中心に、今後も当面、雇用の急回復は見込みにくい状況です。

米個人消費支出(6月) 7月30日(金) 21時30分発表

5月の米個人消費支出(PCE)は、前月比横ばい(±0%)と市場予想を下回りました。また、PCE総合価格指数は前年比3.9%上昇しました。PCEは、新型コロナの感染対策に伴う行動制限措置の緩和を受け、サービスへの支出は増えたものの、耐久財など財への支出が減少した模様です。

6月のPCEは、基本的には、サービス支出を中心に回復が想定されるものの、米国での新型コロナ変異株の感染拡大が今後の懸念材料です。他方、PCE総合価格指数は、引き続き、サービス、財価格が堅調に推移していることから、5月程度の伸びが想定されます。

 

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