来週の金融市場見通し(2021年7月5日~2021年7月9日)

■来週の見通し

前週末発表の米国の5月の個人消費支出(PCE)物価指数で、エネルギー・食品を除くコア指数は前年同月比3.4%上昇と伸びが前月から拡大しましたが、市場予想と同水準で、インフレ加速への懸念は広がりませんでした。他方、国内では東京都などに適用している「まん延防止等重点措置」について、延長する方向で政府が調整していると伝えられています。来週は、新型コロナの動向や内外の経済指標に加え、金融政策の正常化が示唆された6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨も確認したいところです。

◆株価 :方向感を欠く展開に

日本株は、方向感を欠く展開が予想されます。海外景気の回復や国内企業の業績期待などが株価を下支えする一方、東京などにおける新型コロナウイルスの感染拡大などが、株価を圧迫する見通しです。6月調査の日銀短観では、足元の景況感改善が確認されたものの、先行きについては企業の慎重な見方が示され、株価の押し上げ材料としては力不足とみられます。そのため、今月後半の決算発表本格化を控え、様子見姿勢が強まりそうです。

◆長期金利 :低位もみ合い

日銀は7-9月期の長期国債買入れについて、残存期間1年超3年以下、5年超10年以下、10年超25年以下の1回当たりの買入れ予定額を減額しました。これを受け、長期金利は一時0.065%まで上昇しましたが、押し目買いが広がり、長期金利は低下に転じました。10年国債入札も順調な結果で、良好な需給が確認された格好です。30年国債、5年国債などの入札や米長期金利の動きを確認しながら、低位でもみ合う動きが続きそうです。

◆為替 :堅調地合い継続

ドル円は、堅調な推移が見込まれます。米景気の順調な回復とインフレ期待の上昇を背景に、米国では早期の金融引締め観測が高まっています。他方、米国に比べ日本の景気回復は遅れており、日米の金融政策スタンスの違いから、当面ドル買い円売りが優勢となりそうです。注目の米雇用統計が市場予想に比べ下振れした場合、来週のドル円は若干の調整が想定されるものの、米国の金融政策スタンスに影響はなく、下値は限定的とみられます。

◆Jリート :上値は限定的か

東証REIT指数は、2,150ポイントを挟んだ高値圏での動きが続く中、相対的な分配金利回りの高さに着目した買いや、株式市場に比べた出遅れ感からの買いなどから、6月29日に続き、7月2日にも年初来高値を更新しました。経済活動の正常化への期待は根強いものの、新型コロナの新規感染者数が東京都などで増えつつあることや、「まん延防止等重点措置」の延長は重しになりそうです。底堅いものの、上値は限定的になりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(6月) 7月8日(木)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、5月に前月差1.0ポイント低下の38.1となりました。ただ、家計動向関連が低下した一方、企業動向関連と雇用関連は上昇するなど、底堅い面も示されました。

6月の現状判断DIは、小幅な改善が見込まれます。新型コロナウイルスの感染は継続しているものの、ワクチン接種の進展などを受け各地点の人出などは増加しており、これらに伴い、景況感も一旦持ち直した模様です。ただし、感染症への懸念が残る中、景況感の改善は当面、緩慢なものにとどまる見込みです。

ISM非製造業景況指数(6月) 7月6日(火)午後11時発表

米供給管理協会(ISM)が発表した5月の非製造業景況指数は、1997年の統計開始以来、最高の64となり、市場予想も上回りました。新型コロナウイルス関連の活動制限が緩和される中、航空や宿泊業、飲食など多くのサービス分野の企業活動が急速に改善しているとみられます。

当面、サプライチェーンや人材確保などの面で課題が残る可能性はありますが、今後も消費者の繰延需要や企業投資の回復が期待できることから、6月の同指数は63.8程度を想定しています。

 

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