来週の金融市場見通し(2021年6月28日~2021年7月2日)

2021/06/25

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長らは、物価上昇は一時的という見方を堅持しています。市場が織り込む米国の今後5年間の期待インフレ率は、5月に一時2.7%を超えましたが、足元では2.4%台まで低下しており、過度なインフレ懸念は後退しています。他方、バイデン米大統領はインフラ投資計画について、超党派のグループと合意に達したと発表しました。ただ、与野党の調整には時間がかかりそうです。来週は週末に6月の米雇用統計の発表が予定されており、様子見姿勢が広がることも想定されます。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。米国のインフラ投資計画への期待などが、内外の株高を後押しする見通しです。米長期金利の過度な上昇が抑制されていることも、投資家の心理を支える見込みです。とはいえ現在、東京などで新型コロナウイルスの感染が拡大しており、それによる国内の景気不安などが、日本株の上値を圧迫しそうです。そうした中、日銀短観など重要な経済指標が発表されるため、それらの結果や内容が注目されます。

◆長期金利 :低位でのもみ合いが継続

長期金利は0.05%前後での膠着した動きが続いています。FRBが早めの利上げに動き、先行きのインフレ圧力を抑制するとの見方に加え、パウエルFRB議長が物価上昇は一時的という見方を堅持し、インフレへの警戒が後退したことは、金利の押し下げ材料ですが、堅調な株価を受け、もみ合いが続きました。来週は米長期金利の動きに加え、日銀の長期国債買入れ予定や10年国債入札などを確認しながら、居所を探る展開になりそうです。

◆為替 :堅調地合い継続

ドル円は、米長期金利に明確な方向感は見られないものの、足元、欧米に比べ、日本の景気回復の遅れが主要経済指標などにより確認される中、円売りが先行しています。また、複数のFRB理事が2022年の利上げ開始支持を示唆したことなどから、米短中期金利が上昇しており、ドルを支えています。ドル円は、年初来の高値であった110.97円を一旦上抜けており、当面、堅調な動きが継続しそうです。

◆Jリート :上値を探る

東証REIT指数は、コロナワクチン接種の進展を受けた経済正常化への期待や、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、前週の下げを戻す動きになりました。もっとも、東証REIT指数が2,150ポイントを上回ると利益確定売りに押されるなど、上値は限定的でした。米利上げ観測でやや荒れた動きになった金融市場が落ち着いてきていることは安心材料です。2,100ポイント半ばで値固めをしながら、上値を探ることになりそうです。

来週の注目点

日銀短観(6月調査) 7月1日(木)午前8時50分発表

3月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がプラス5、同・非製造業がマイナス1となりました。12月調査に比べ、それぞれ15ポイント改善、4ポイント改善と、製造業の改善が鮮明でした。

6月調査では、製造業・非製造業とも、大企業の業況判断DIは、改善が見込まれます。特に製造業については、世界景気の回復に伴う輸出増が、引き続き景況感を押し上げている模様です。また、非製造業は、新型コロナウイルスの感染継続にもかかわらず、外出自粛などの動きは限定的となっていることなどが、景況感を支える見込みです。

米雇用統計(6月) 7月2日(金)午後9時30分発表

5月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比55万9,000人増となり、労働市場の回復は継続しているとみられるものの、市場予想には届きませんでした。また、失業率は5.8%に低下しました。業種別では、経済活動の段階的な制限撤廃を受け、特に飲食・娯楽などのホスピタリティ分野で雇用者数が増加しました。

新型コロナ感染拡大の影響を強く受けたホスピタリティ分野を中心に労働市場の回復の流れは継続するとみられることから、6月の非農業部門雇用者数は前月比69万人増程度、失業率は5.7%程度を想定しています。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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