来週の金融市場見通し(2021年6月21日~2021年6月25日)

■来週の見通し

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、FOMCメンバーが2023年末までに2回の利上げを予想していることが明らかになり、利上げ開始が前倒しされるとの見方が広がりました。また、米国債などを買い入れる量的緩和の段階的縮小(テーパリング)についても議論した模様で、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策の正常化に向けて舵を切った格好です。今後はテーパリングや利上げの開始時期をめぐる思わくに振らされそうです。内外の経済指標に加え、パウエルFRB議長の議会証言も確認したいところです。

◆株価 :底堅いが上値は重い

日本株は、底堅いながらも上値の重い展開が予想されます。20日に期限を迎える緊急事態宣言について、東京や大阪などで解除されることなどが、株価を下支えする見通しです。また、為替が円安へ振れたことも、日本株の好材料となりそうです。ただし、国内において、新型コロナの感染収束には遠い状況であることや、米国でのインフレや金融引締めをめぐる警戒感などを踏まえると、株価が一方的に上昇する可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :もみ合い

FOMCでテーパリング開始が意識されたことや、米利上げの開始時期が早まるとの見方から米長期金利とともに、国内の長期金利も上昇する動きになりました。ただ、翌日には米長期金利は前日の反動で低下するなどレンジでの動きが続いていることから、米金融緩和の縮小をある程度織り込んでいるとみられます。来週は、米金融当局者の発言や、5年国債、20年国債入札などを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :ドル円は底堅い

6月のFOMCでは、インフレ予想が上方修正され、また、利上げ開始時期が前倒しされる可能性が高まるなど、市場予想よりタカ派に振れました。それを受け、米長期金利は一時1.6%近くまで上昇し、ドル高の圧力が高まっています。とはいえ、ドル円は、米国の利上げ前倒し観測を受けたリスク回避的な円買いも想定され、底堅いながらも上値は限定されそうです。当面は今年3月末の高値110.97円を目途に底堅い動きが継続しそうです。

◆Jリート :戻りを探る

東証REIT指数は、年初来高値まで上昇したことで、利益確定売りが広がったことや、長期金利の上昇を嫌気して、値を下げる動きになりました。来週は、FTSE指数へのJリート組み入れが今週の18日で終了し、売りが先行する可能性があります。もっとも、売りが一巡すると、コロナワクチンの接種が進展する中、経済活動の正常化への期待や、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、戻りを探る動きも出てきそうです。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(6月) 6月25日(金)午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、5月に前年比0.2%の下落と、4月と同じ下落幅を示しました。特に携帯電話通信料の値下げが、物価指数の下落に大きく寄与しました。

6月の物価指数も、通信料の値下げなどを背景に、小幅な下落が見込まれます。また、新型コロナウイルスの感染継続を背景に、サービス部門の低迷が続くと見込まれることも踏まえると、東京都区部の物価指数が大幅な上昇に転じる可能性は、当分の間、低いとみられます。

米個人消費支出(5月) 6月25日(金) 21時30分発表

4月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.5%増と市場予想に一致しました。また、米連邦準備制度理事会 (FRB)が物価指標として注目しているPCE総合価格指数は前年比3.6%上昇しました。PCEは、追加経済対策に伴う直接給付により押し上げられた3月からは伸びが減速しました。

5月のPCEは4月同様、前月比0.3%程度の小幅な伸びが予想される一方、PCE総合価格指数は、比較対象となる昨年同月の消費支出が新型コロナの感染拡大の影響で大きく落ち込んでいたことからひずみが生じており、前年比4.0%程度の伸びが見込まれます。

 

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