来週の金融市場見通し(2021年3月29日~2021年4月2日)
■来週の見通し
欧州ではコロナワクチン接種計画が難航している一方、米国ではバイデン大統領が、就任100日までに2億回のワクチン接種を目指すと表明したことを受け、経済の正常化期待が広がっています。他方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が米国債などの購入について、政策目標に向けて大幅な進展が見られたら徐々に縮小すると語ったことなどを受け、量的緩和縮小への警戒はくすぶりそうです。内外の経済指標に加え、コロナの動向や米金融当局者の発言などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :底堅い
FRBによる大手銀行の資本規制の緩和措置終了や、ルネサスエレクトロニクスの工場火災による半導体不足を警戒した売りが一服し、買戻しが優勢になりました。米国で経済の早期正常化への期待が広がっていること、また、大幅下落した24日には、日銀が上場投資信託(ETF)の買入れ額を増額し、市場を下支えする姿勢を示したことから、底堅い動きが見込まれます。コロナの動向に加え、期初の買いが強まるかも確認したいところです。
◆長期金利 :もみ合い
前週末にFRBがコロナ危機対応で導入した銀行の資本規制の緩和を終了すると発表し、米国債売りが強まるとの懸念が強まっていたものの、影響は限定的でした。米長期金利の上昇が一服していることや、日銀が金利上昇を抑制する姿勢を示したことから、国内の長期金利は上昇しにくくなっています。株式市場や米長期金利の動きをにらみながら、もみ合う展開が続きそうです。10年国債入札での、期初の需給も注目されます。
◆為替 :堅調地合い継続
ドル円は、堅調な地合いが継続しそうです。ただ、米国景気の早期回復見通しを背景に、米長期金利は上昇基調にあるものの、足元、その上昇に一服感が出ています。ドル円は、米長期金利の動向に相関性の高い状況にあることから、しばらくは108円台半ばから109円台半ば程度のレンジでの推移が続きそうです。とはいえ、来週注目される米雇用統計の発表後、米長期金利が上昇を再開すれば、ドル円は110円到達の可能性もありそうです。
◆Jリート :引き続き上値を探る
東証REIT指数は、日銀によるJリートの買入れが継続するとの見方に加え、長期金利も0.10%を下回って推移していることを背景に、相対的に高い分配金利回りに着目した買いなどから、週末には2,000ポイントを回復しました。予想分配金利回り3.5%に対応する東証REIT指数の水準は2,060~2,070ポイントですが、一段の上昇には利益確定売りが強まる可能性があります。利益確定売りに注意しながら、上値を探る展開が続きそうです。
■来週の注目点
日銀短観(3月調査) 4月1日(木)午前8時50分発表
昨年12月調査の日銀短観では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)がマイナス10、同・非製造業がマイナス5となりました。世界景気の回復を背景とした自動車産業などの業況改善に伴い、9月調査比それぞれ17ポイント、7ポイント改善しました。
3月調査でも、大企業・製造業の業況判断DIは、輸出の回復などを受け、明確な改善傾向を示す見込みです。ただ、1月に緊急事態宣言が再発令されたため、同・非製造業については、小幅な改善にとどまる見込みです。なお、景気の先行き不透明感が根強い中、設備投資計画に関しては、引き続き企業の慎重姿勢が示されそうです。
米雇用統計(3月) 4月2日(金)午後9時30分発表
2月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比37万9,000人増と市場予想を大幅に上回り、また、失業率は6.2%に低下しました。米国における新型コロナの感染者数が減少し、ワクチンの接種が進展する中、米国各地において徐々に経済活動への制限措置が緩和されていることから、一段の雇用増につながったものとみられます。
大型追加経済対策が成立したことから、今後もこの傾向は継続するとみられ、さらに労働市場の改善が期待されます。3月の非農業部門雇用者数は前月比60万人増程度、失業率は6.0%程度となる見通しです。
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