来週の金融市場見通し(2021年3月1日~2021年3月5日)

■来週の見通し

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、議会証言で経済がさらに回復するまで金融緩和を継続する必要性を改めて表明する一方、足元の長期金利の上昇については、市場の経済再開や経済成長への期待の表れと、容認する姿勢を示しました。新型コロナワクチンの普及や大規模な追加経済対策で米景気の回復が加速するとの期待から、米10年債利回りは節目の1.5%を上抜きました。来週は、米雇用統計など内外の経済指標に加え、米金融当局者の金利上昇についての発言なども確認したいところです。

◆株価 :不安定な展開に

日本株は、不安定な展開が予想されます。米長期金利の上昇を受け日本などの国債利回りも上昇しており、超低金利を背景に上昇してきた内外の株価は、調整局面が長引く可能性があります。特に、割高感のあるテクノロジー関連株などは、当面、売られやすい状況となりそうです。とはいえ、金利上昇は世界景気の回復期待に伴うものであるため、金利がさらに急上昇しない限り、日経平均株価が一方的に下落する可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :さらなる上昇は限定的

長期金利は26日に一時0.175%と、2016年1月以来の水準まで上昇しました。米長期金利が節目の1.5%を上抜けする中、国内の債券市場では、3月の日銀の政策点検を前に、日銀がどこまで金利上昇を許容するのか試す動きになっています。もっとも、現時点では日銀が許容する長期金利の上限は0.2%で、上昇余地は限定的。米金利の動きに加え、日銀の国債買入れオペや3日の片岡日銀審議委員の講演なども確認したいところです。

◆為替 :方向感乏しい

ドル円は、106円を挟んだ水準で、方向感の乏しい動きが予想されます。米長期金利は米景気の早期回復見通しやインフレ期待の高まりなどから、一時1.6%程度まで上昇しました。それを受け、ドル円の下値は極めて限定的とみられます。しかし、日米とも株価が不安定な動きとなっており、決済通貨であるドルへの需要が高まる一方、リスク回避の円買いも顕著であり、ドル円はドル買い円買いの交錯する中、方向感が見出しにくい状況です。

◆Jリート :落ち着き待ち

Jリート市場は、堅調な地合いが続いたものの、週末は米金利の急上昇を受け、米国株が急落したことから、投資家心理が悪化し、株式市場とともに大きく下落しました。米10年債利回りは一時1.61%まで上昇した後、1.52%まで戻しています。米金利上昇が一服すると、安心感が広がることも想定されます。引き続き、分配金利回りに着目した買いなどから、底堅い動きが見込まれます。緊急事態宣言の解除の有無も確認したいところです。

来週の注目点

失業率、有効求人倍率(1月) 3月2日(火)午前8時30分発表

昨年12月の失業率は2.9%と、上昇(悪化)を見込んだ市場予想に反し、前月と同じでした。また、有効求人倍率(求職者1人あたりの求人件数)も、前月比横ばいの1.06倍となりました。

1月は、失業率、有効求人倍率とも、小幅な悪化が見込まれます。11都府県を対象とした緊急事態宣言が発令されたことから、宿泊・飲食サービス業などを中心に、雇用情勢が悪化したものとみられます。今後も当面、新型コロナウイルスをめぐる先行き不透明感などを背景に、企業の採用姿勢は慎重なものにとどまりそうです。

米雇用統計(2月) 3月5日(金)午後10時30分発表

1月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比4万9,000人増と市場予想を下回り、前月に続き労働市場の厳しい状況が明らかになりました。また、失業率は6.3%となりました。足元、米国における新型コロナの感染状況は改善しているものの、小売りや娯楽、ホスピタリティ分野での雇用削減が影響したものとみられます。

今後は新型コロナの新規感染者数の減少、ワクチン普及の進展、追加経済対策への期待を背景に徐々に労働市場の改善が期待されます。2月の非農業部門雇用者数は前月比16万人増程度、失業率は6.4%程度となる見通しです。

 

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