来週の金融市場見通し(2021年2月22日~2021年2月26日)
■来週の見通し
米国では最大1.9兆ドルの経済対策に加え、月内にも議会に大規模な環境・インフラ投資法案が提出される見通しです。米国債の増発懸念や、米景気回復が加速するとの見方などから、米長期金利は一時1.30%を上回りました。米株式市場では資金調達コストなどに影響する金利上昇への警戒感も出てきています。他方、国内でもワクチン接種が始まりました。来週は、コロナの動向や内外の経済指標に加え、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で、金利上昇に言及するかどうかも確認したいところです。
◆株価 :上値の重い展開か
日本株は、上値の重い展開が予想されます。国内外の景気回復観測を背景に日経平均株価は3万円台に乗せたものの、やや行き過ぎとみられ、当面は利益確定売りに押されやすくなりそうです。また、米国では、長期金利の上昇を受け株価の割高感が意識されており、これにより米国株が下落した場合、日本株も追随して下落しそうです。ただし、国内を含め新型コロナのワクチンが普及しつつあることなどが、日本株をサポートする見通しです。
◆長期金利 :不安定な動き
米長期金利が米国債増発による需給悪化懸念に加え、景気回復や原油価格上昇を背景にした物価上昇観測などを背景に上昇していることを受け、国内金利も上昇しやすくなっています。国内の長期金利は0.10%と、2018年11月以来の水準まで上昇しました。黒田日銀総裁は金融緩和を相当長く続ける必要があるとしていますが、日銀は3月の政策点検で、長期金利上昇をある程度認める可能性もあります。やや不安定な動きが続きそうです。
◆為替 :狭いレンジで方向感探る
米長期金利は、米国の新型コロナ新規感染者数の減少、ワクチン接種の進展、大規模な追加経済対策への期待などを背景に1.3%程度まで上昇しています。それを受け、ドル円は一時106円台まで上昇しました。しかし、106円台では本邦輸出勢のドル売りが控えていること、米長期金利は足元、1.3%前後で一服感が出ていることなどから、ドル円は、当面、105円台を中心とした狭いレンジ内で方向感を模索する展開が見込まれます。
◆Jリート :高値もみ合い
東証REIT指数は、一時2,000ポイントを回復しましたが、その後は利益確定売りに押され、上げ幅を縮小しました。日銀は、Jリートを前回から増額して買い入れた一方、上場投資信託(ETF)の買いを見送りました。株式市場ほどJリート市場は高値に達していないとの見方のようです。ワクチン普及で経済の正常化が進むとの期待が広がる中、利益確定売りに押されながらも、出遅れ感に着目した買いなどから、底堅い動きが続きそうです。
■来週の注目点
鉱工業生産指数(1月、速報値) 2月26日(金)午前8時50分発表
鉱工業生産指数は昨年12月に前月比1.0%低下し93.8(2015年=100)と、2か月連続で低下しました。業種別では、汎用・業務用機械工業、自動車工業などが低下した一方、化学工業、食料品などが上昇しました。
1月の鉱工業生産指数は、小幅な上昇が見込まれます。中国向けの輸出などが生産を支えたとみられます。ただ、1月に緊急事態宣言が再発令されたことや、自動車需要の回復が一巡した模様であることなどを踏まえると、1-3月期の鉱工業生産は緩慢な伸びにとどまる見通しです。
米個人消費支出(1月) 2月26日(金) 22時30分発表
昨年12月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.2%減と、市場予想を若干上回ったものの、2か月連続で減少しました。また、PCE総合価格指数は前年比1.3%となり、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標(2%)を依然下回っています。
米国の新型コロナの感染者数は減少傾向にあり、また、昨年成立した追加経済対策による恩恵が出始めています。足元のインフレは当面低迷が予想されるものの、直接給付金などによる個人所得増が個人消費を支えるとみられ、1月のPCEは前月比0.7%増程度が見込まれます。
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