来週の金融市場見通し(2021年2月15日~2021年2月19日)
■来週の見通し
米民主党のペロシ下院議長が、追加の経済対策を3月半ばまでに成立させる見通しを示したことなどから、投資家心理が一段と上向いています。新型コロナウイルスについては、米国では感染ペースが落ち着き、規制緩和が進んでいる一方、国内では10都府県の緊急事態宣言解除が見送られました。来週は、昨年10-12月期の国内総生産(GDP)速報値などの経済指標に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(1月開催)で、米国債などを購入する量的緩和の縮小についての議論なども確認したいところです。
◆株価 :やや軟調か
日本株は、やや軟調な展開が予想されます。日米企業の好決算などを背景に日経平均株価は一旦約30年半ぶりの高値へ上昇したものの、急ピッチの上昇に対する警戒感も広がっています。そのため当面、日経平均株価は3万円手前で足踏みする可能性が高そうです。とはいえ、新型コロナウイルスの新規感染が国内外で減少傾向にあることや、そのワクチンへの期待などを踏まえれば、日本株が一方的に下落する可能性は低いとみられます。
◆長期金利 :上昇一服
米追加経済対策の早期成立への期待から、米10年債利回りが一時1.20%、国内の長期金利も0.075%と、昨年3月以来の水準まで上昇しました。もっとも、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が金融緩和を忍耐強く続ける姿勢を示していることや、日銀が3月の政策点検で一段の利下げも辞さない方針の明確化を検討するとの報道などから、一段の上昇は限定的とみられます。米FOMC議事要旨も確認したいところです。
◆為替 :方向感乏しい
ドル円は、方向感の乏しい展開が予想されます。米国の実質金利の低下は底打ち局面が近い可能性があるものの、依然、日米の実質金利差はマイナス域で拡大した状況が続いており、ドル円の上値を抑えています。また、新型コロナワクチンの普及や米追加経済対策への期待から、リスク選好が優勢となる中、ドルへの需要は後退しています。とはいえ、米長期金利は1.1%台半ばで底堅く推移しており、ドル円の下値も限定的とみられます。
◆Jリート :1,900ポイント台での値固めか
長期金利の上昇は重しも、投資家のリスク選好が強まる中、株式市場に比べた出遅れ感や、分配金利回りの高さに着目した買いなどから、東証REIT指数は昨年3月以来の1,900ポイント台まで上昇しました。東京都心のオフィス市況悪化の影響は限定的でした。TOPIXが1991年6月以来の水準まで上昇する一方、東証REIT指数はまだ昨年3月の水準です。ただ、急伸してきただけに利益確定売りに上値を抑えられることも想定されます。
■来週の注目点
GDP統計(20/10-12月期、1次速報) 2月15日(月)午前8時50分発表
日本の実質国内総生産(GDP)は、昨年7-9月期に前期比5.3%増(年率22.9%増)と、緊急事態宣言の解除などを受け大幅なプラス成長を記録しました。
10-12月期も、伸びは鈍化しつつも、プラス成長を示す見込みです。特に、中国向けなどの輸出増が景気回復を主導したとみられるほか、「GoTo」事業などにより、個人消費も回復基調を示す見込みです。ただ、新型コロナの感染拡大を受け、昨年終盤以降に「GoTo」事業の見直しが行われた上、1月には緊急事態宣言が再導入されたことから、1-3月期はマイナス成長に陥る見通しです。
ユーロ圏製造業PMI(2月) 2月19日(金)午後6時発表
1月のマークイットユーロ圏総合PMIは、47.8と前月の49.1や市場予想を下回るとともに、活動の拡大縮小の境目となる50を3か月連続で下回りました。また、製造業PMIも54.8と前月より低下しました。とはいえ、製造業はペースを鈍化させつつも、昨年の7月以来50を超える状況が続いており、景気の下支えとなっています。
輸出が改善基調をたどる中で、今後も製造業の失速は考えにくい状況であり、製造業PMIは堅調な推移が想定されます。また、ユーロ圏の新型コロナの感染拡大に伴う制限措置は残るものの、ワクチン接種による経済の改善期待のある中、総合PMIは今後、緩やかなペースでの回復が見込まれます。
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