来週の金融市場見通し(2021年2月8日~2021年2月12日)

■来週の見通し

米株式市場での個人投資家の投機的な売買による混乱がやや沈静化する中、米下院が2021会計年度の予算決議案を可決したことを受け、野党・共和党との協議なしに大規模な経済対策が早期に成立するとの見方が広がっています。また、米国ではワクチン接種が進む中、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少傾向が続いています。他方、国内では緊急事態宣言が10都府県を対象に1か月延長されました。来週は、米経済対策、コロナの動向、経済指標に加え、佳境を迎える国内企業の決算発表も確認したいところです。

◆株価 :上値の重い展開に

日本株は、上値の重い展開が予想されます。日米企業の好決算などを受け株価は急反発したものの、過熱感が再び高まる中、利益確定売りに押されそうです。また、ドル高・円安が進みましたが、一段の円安余地は限定的とみられることも、日本株の上値を抑える見込みです。とはいえ、一時混乱した米国株市場が落ち着きをみせていること、新型コロナのワクチンへの期待が根強いことなどを背景に、日本株の底堅さは維持される見通しです。

◆長期金利 :一進一退

長期金利は、日銀が3月の政策点検で国債の買入れ手法を見直し、買入れ額を減らすとの観測から、約10か月ぶりに0.06%まで上昇しました。その後は、10年国債や30年国債入札が順調な結果となったことから、金利上昇は一服しました。米国で大型の経済対策が成立すると米金利が上昇し、国内金利も押し上げられる可能性があります。とはいえ、日銀の強力な金融緩和が続く中、3月の政策点検を確認するまでは方向感は出づらそうです。

◆為替 :円安地合いも上値は限定的

米長期金利が再び1.1%台まで上昇していることを受けて、ドル円は105円台半ばまで上昇するなど、堅調な推移となっています。また、新型コロナワクチンの普及や米追加経済対策への期待が強い中、米国経済の相対的な強さがドルを支えているとみられます。来週は、米雇用統計を確認したのちの米長期金利の動きに注目ですが、足元、金融緩和が継続する中、同金利のここからの上昇幅は限定的とみられ、ドル円の上値も限られそうです。

◆Jリート :利益確定売りがやや優勢か

Jリート市場は、利益確定売りに押されながらも、米株式市場の投機売買による混乱への警戒が和らいだことや、株式市場に比べた出遅れ感を背景にした買いなどから、高値圏でのもみ合いが続きました。長期金利の上昇が一服していることは安心材料です。Jリートの相対的に高い分配金利回りに着目した買いも下支え材料です。もっとも、東証REIT指数が1,850ポイントを上回る水準では、利益確定売りに押されることも想定されます。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(1月) 2月8日(月)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、12月に前月差10.1ポイント低下の35.5と、大幅に悪化しました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「GoTo」事業の見直しなどを背景に、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが低下しました。

1月の現状判断DIも、低下が見込まれます。首都圏など11都府県に緊急事態宣言が発令されたため、景況感の低迷が続きそうです。ただ、今回の緊急事態宣言は地域や時間帯などが限定的であるほか、「ステイホーム」に伴い需要が増えている品目(インターネット関連機器や空気清浄機など)もあります。そのため、昨年春に比べると、景況感の落ち込みは限られたものにとどまりそうです。

米消費者物価指数(1月) 2月10日(水)午後10時30分発表

昨年12月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比1.4%上昇となり、また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは同1.6%上昇と、おおむね市場の予想通りとなりました。ガソリンなど、エネルギー価格や食品価格などが上昇しました。

米国では、新型コロナウイルスの感染拡大ペースはピークアウトしているとみられるものの、各地で行動制限などが続いており、当面、物価上昇圧力は高まりにくい状況です。1月は総合で前年比1.5%程度の上昇、コアは同1.5%程度の上昇が見込まれ、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標を下回る状況が続きそうです。

 

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