来週の金融市場見通し(2021年2月1日~2021年2月5日)

■来週の見通し

新型コロナウイルスワクチンの接種が欧米で開始されていますが、ワクチン供給の遅れが懸念されています。国内では2月下旬をめどに接種が開始される見通しですが、その前に、7日が期限の11都府県を対象とする緊急事態宣言が延長されるか注目されます。来週は、新型コロナをめぐる動向に加え、本格化している内外の主要企業の決算発表、経済指標などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。

◆株価 :持ち直しの動き

日本株は、持ち直しの動きが予想されます。高値警戒感を背景に日米の株価は一旦大幅に下落したものの、世界景気の回復見通しは依然優勢です。そのため、買戻しの動きが広がりそうです。また、本格化した日米の決算発表で、企業利益の底堅さが確認されれば、株価は騰勢を強める可能性もあります。ただ、国内で緊急事態宣言の延長が決まった場合や、米国の追加経済対策が遅延した場合などには、日本株などの上値を抑制しそうです。

◆長期金利 :神経質な動き

長期金利は狭いレンジでの動きが続いていましたが、1月の日銀金融政策決定会合の「主な意見」で、長期金利が上下にある程度の範囲で変動することは、金融システムの安定に資すると、金利の上昇余地を認める意見が出ていたことなどから、週末は0.05%程度まで上昇しました。米長期金利はやや落ち着いた動きになっていますが、日銀が金融政策を調整する可能性のある3月の会合までは、低位ながらも神経質な動きが続きそうです。

◆為替 :ドル円は下値模索の可能性も

米長期金利は米経済の早期回復期待や景気刺激策に絡む米国債増発懸念などから、中長期的には上昇基調にあるとみられますが、当面は1.0~1.2%程度のレンジ内で推移しそうです。それを受け、ドル円も基本的にはレンジ内で方向感の乏しい展開となりそうです。とはいえ、来週は雇用統計など重要な経済指標の発表を控えており、米長期金利が1.0%を下回って推移した場合、ドル円はやや下値を模索する可能性がありそうです。

◆Jリート :高値もみ合い

Jリート市場は月末にかけて堅調な動きが継続しました。Jリートの相対的に高い利回りに着目した買いに加え、株式市場に比べた出遅れ感から資金が流入し、東証REIT指数は週末には一時1,850ポイントを上回りました。Jリートの予想分配金利回りは3.9%台と依然として相対的に高い水準を維持しています。利益確定売りに押される場面もありそうですが、出遅れ感は解消されておらず、高値圏での底堅い動きが続きそうです。

来週の注目点

家計調査(12月) 2月5日(金)午前8時30分発表

家計調査によると、実質消費支出(二人以上の世帯)は昨年11月に前年比1.1%増と、2か月連続で増加しました。品目別では、携帯電話通信料、自動車購入費などが増加した一方、旅行費などが減少しました。

12月の消費支出は、前年比減少が見込まれます。新型コロナウイルスの感染拡大に伴うGoTo事業の見直しなどが、支出を押し下げた模様です。年末以降には感染がさらに増加し、現在、11都府県を対象に緊急事態宣言が発令されています。感染収束には長い時間を要するとみられるため、消費支出は今後も低迷が続く見通しです。

米雇用統計(1月) 2月5日(金)午後10時30分発表

昨年12月の米雇用統計において、非農業部門雇用者数は前月比14万人減と市場予想を大きく下回り、8か月ぶりに減少に転じました。また、失業率は前月同様6.7%となりました。米国における新型コロナの感染者急増の影響から、特に外食産業等の娯楽やホスピタリティ分野での雇用減少が顕著です。一方で、製造業や建設業は比較的堅調でした。

引き続き米国の新型コロナウイルス感染拡大の悪影響が懸念されます。1月の非農業部門雇用者数は前月比5万人増程度、失業率は6.7%程度となる見通しです。

 

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