来週の金融市場見通し(2021年1月25日~2021年1月29日)

■来週の見通し

民主党のバイデン氏が20日、米大統領に就任しました。就任式が混乱なく終わり、大型の経済対策や新型コロナウイルスのワクチン普及への期待が広がる中、この日の米株式市場はご祝儀相場となりました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持の見込みですが、パウエル議長が長期金利の上昇についてコメントするかが注目されます。日本の失業率、米国の2020年10-12月の国内総生産(GDP)や個人消費支出など、内外の経済指標に加え、本格化する米国企業の決算発表も確認したいところです。

◆株価 :方向感を欠く

日本株は、明確な方向感を欠く展開が予想されます。引き続き、米バイデン政権による経済対策への期待に支えられる一方、新型コロナの世界的な感染継続が株価の重しとなりそうです。ただ、米企業決算や内外の経済指標で市場予想を大きく上回るものが目立った場合、米国株に追随し日本株も一旦上昇する可能性があります。とはいえ、日米の株式市場では高値警戒感が広がっていることから、一方的な株価上昇は想定しにくい状況です。

◆長期金利 :居所を探る

日銀が金利の上昇を容認するとの思わくから、長期金利は約2か月半ぶりに0.05%まで上昇しました。ただ、その後は20年国債入札が無難な結果になったことや日銀金融決定会合で金利上昇が示唆されなかったことなどから、じりじりと低下しました。日銀の金融政策に対する思わくに振らされる動きは一服しています。新型コロナの感染拡大に歯止めがかからない中、米長期金利の動きなどを確認しながら、居所を探ることになりそうです。

◆為替 :当面はレンジ相場続く

ドル円は方向感の乏しい展開が続きそうです。米長期金利は中長期的には上昇基調にあるとみられるものの、足元、新型コロナ感染拡大による行動制限が続いており、当面は1.0~1.2%程度のレンジ内で推移すると想定されます。それを受け、ドル円も103円半ばを中心としたレンジ内で方向感の乏しい展開が続きそうです。とはいえ、日本の実質金利はデフレ基調の中で上昇しており、徐々にドル安円高が進む見通しに変化はなさそうです。

◆Jリート :一進一退

Jリートの相対的に高い利回りに着目した買いに加え、米国のバイデン新政権による大型経済対策への期待から投資家心理が改善したことから、堅調な動きになりました。週初に長期金利が上昇したことの影響も限定的でした。Jリートの予想分配金利回りは4%強と依然として高い水準です。新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言は重しですが、ワクチンの普及に目途が立ってくると、安心感が広がることも想定されます。

来週の注目点

失業率、有効求人倍率(12月) 1月29日(金)午前8時30分発表

11月の失業率は前月比0.2ポイント低下の2.9%と、医療などの就業者が増加し5か月ぶりに改善しました。有効求人倍率(求職者1人あたりの求人件数)は、前月比0.02ポイント上昇(改善)し、1.06倍となりました。

12月は、失業率、有効求人倍率とも、やや悪化する可能性が高いとみられます。12月以降、国内における新型コロナウイルスの感染拡大が顕著となり、これを受け景気の先行き不透明感が強まっています。そのため、企業の採用姿勢は当面慎重なものになりそうです。

米個人消費支出(12月) 1月29日(金) 22時30分発表

昨年11月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%減と同年4月以来の減少となり、市場予想以上の大きな落ち込みとなりました。また、PCE総合価格指数は前年比1.1%となり、米連邦準備制度理事会(FRB)のインフレ目標(2%)を依然大きく下回っています。

米国の新型コロナの感染者数は高止まりしており、米国各地で行動制限が行われています。バイデン新政権の繰り出す追加経済対策への期待は強いものの、インフレが低迷する中、しばらくは個人消費支出も盛り上がりに欠けそうです。

 

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