来週の金融市場見通し(2021年1月11日~2021年1月15日)

■来週の見通し

米ジョージア州で実施された米連邦議会の上院2議席をめぐる決選投票では、民主党の候補者がいずれも勝利を確実にしました。民主党が大統領と上下両院の過半数を押さえるトリプルブルーとなり、新政権による大規模な経済対策への期待が強まっています。他方、国内では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県に緊急事態宣言が発令されました。前回と比べ対象を絞った要請で、経済への影響は限定的との見方が多いものの、1か月で感染拡大が沈静化するかは予断を許しません。

◆株価 :上昇基調継続か

日本株は、上昇基調が継続しそうです。米国では、1月20日に発足するバイデン新政権下で、さらなる経済対策が見込まれます。そのため米景気の回復観測が強まっており、これに伴う米国株の上昇に追随し、日本株も上昇基調を示す可能性が高いとみられます。ただ、1都3県を対象に発令された緊急事態宣言は、新型コロナの感染動向次第では、対象拡大や期間延長もあり得ます。そうした懸念が、利益確定売りを促す場面もありそうです。

◆長期金利 :米金利にらみ

国内での新型コロナの新規感染者が連日で最多を更新する中、緊急事態宣言による経済の下押しは、長期金利の押し下げ材料も、米国で大規模な財政出動で米国債が増発され需給が悪化するとの懸念や景気回復への期待から、米長期金利が大きく上昇し、国内の長期金利も0.035%程度まで上昇しました。ただ、内外の中央銀行が強力な金融緩和を続ける中、米金利の上昇が一服すると、国内の金利の動きも落ち着くとみられます。

◆為替 :徐々に下値模索

米連邦議会上院の決選投票において、民主党候補が勝利したことで、バイデン新政権において財政支出拡大に道が開かれるとの見方から、米長期金利は1.0%を超えて上昇しています。それを受け、足元、ドル円も104円程度まで上昇しています。しかし、米景気の早期正常化への期待が高まっていること、今後さらなる米財政赤字の拡大が想定されることなどから、ドル円の上値は限定的とみられ、徐々に下値を探る展開が見込まれます。

◆Jリート :高値もみ合い

昨年末に約9か月ぶりの高値まで上昇したことから、利益確定売りが出やすかったことに加え、緊急事態宣言への警戒から一旦売りに押されたものの、日経平均株価などに比べた出遅れ感や、内外の株式市場が堅調な動きになり、投資家のリスク選好姿勢が強まったことから、下げを埋める動きになりました。長期金利の上昇は影響薄でした。緊急事態宣言の影響やコロナの感染動向なども確認しながら、方向感を探る動きになりそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(12月) 1月12日(火)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、11月に前月差8.9ポイント低下の45.6と、7か月ぶりに低下し、節目の50を下回りました。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、家計動向関連、企業動向関連、雇用関連のすべてのDIが低下しました。

12月の現状判断DIも、低下が見込まれます。12月以降、新型コロナの新規感染者が一層増加する中、「GoTo」事業の見直しが行われたほか、外食などを自粛する動きも強まっています。今後も、1都3県を対象とした緊急事態宣言などを受け、景況感の一層の悪化が予想されます。

米消費者物価指数(12月) 1月13日(水)午後10時30分発表

11月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比1.2%上昇となり、また、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは同1.6%上昇と、それぞれ市場予想を若干上回りました。輸送サービスなどを中心に緩やかながら物価は上昇しているとみられます。

米国では、新型コロナの感染拡大を受け、引き続き各地で行動制限などが行われていることから、消費活動が抑制されており、今後も物価上昇圧力は高まりにくい状況です。12月は総合で前年比1.3%程度の上昇、コアは同1.6%程度の上昇が見込まれます。

 

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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