中東停戦で急騰した株式市場の「その先」

2026/04/10

今週の株式市場ですが、8日(水)の取引で国内外の株式市場が急騰を見せました。とりわけ、日経平均の上げ幅は前日比で2,800円を超え、歴代3位の大きさとなるなど、相場のムードが一変した印象も与えています。

株価上昇のきっかけは、言わずもがなですが、「米国とイランが2週間の一時的な停戦に合意した」と報じられたことです。さらに、それに合わせて、イランのアラグチ外相がホルムズ海峡の安全な通航を可能にすると表明したことも安心感を誘い、原油価格が下落したことも追い風となりました。

もっとも、「急騰した株式市場が今後も上昇を続けて行けるか?」については未だ不透明感が漂っています。

確かに、8日(水)の株価急騰は目立ってはいますが、直前まで米国によるイランへの地上作戦の実施が警戒されていた状況からの急展開というサプライズ的な要素や、下方向への意識が醸成されていた中で増えていた売り方が慌てて買い戻す「ショートカバー」などが寄与した面があります。

さらに、停戦合意を受けた8日(水)の国内外の株価指数の上昇率を見ると、日経平均が5.39%、TOPIXが3.32%、NYダウが2.85%、S&P500が2.50%、ナスダックが2.80%、上海総合指数が2.69%、香港ハンセン指数が3.09%となっており、日経平均の上昇率の大きさが際立っています。

日経平均は値がさハイテク株の影響を受けやすい株価指数ですが、半導体関連銘柄で構成される米SOX指数の上昇率が6.33%と、こちらも大きく上昇していることを踏まえると、一部の銘柄が牽引している構図があり、上昇幅が示すほど、相場の流れが大きく変わっていない可能性があります。

実際に、ホルムズ海峡が通行可能になったとしても、安全が確認できるまでは運航を再開できないほか、10日(金)から開始される米国とイランとの協議でも、イラン側が提示した10項目の内容を見ると、ホルムズ海峡の主権をイランが保持することや、核濃縮の権利承認、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派など、イランが支援する勢力に対する軍事作戦を含めた地域全体の紛争の終結など、米国やイスラエルが受け入れ難いものが多くなっています。

また、米国がイラン側の要求を受け入れてしまうと、今回のイランへの軍事作戦によって、トランプ米大統領がねらっていた支持率増加や原油権益などを得られなくなることを意味し、軍事面は別として、政治・外交面では敗北となるため、ここから2週間のあいだに協議が進展しない、もしくは頓挫してしまう可能性は意外と高いと思われます。

そのため、株式市場は引き続き、中東情勢をめぐる報道に左右されやすい状況となるほか、今回の株価反発の牽引役となったハイテク企業の業績や見通しを、まもなく本格化する決算シーズンで見極めて行くことになりそうです。

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