『米国の利下げと大統領選挙』

2024/09/13

今週の日経平均は12日(木)の取引開始時点で、36,000円水準を中心に株価が上げ下げする推移となっています。

また、今週の国内株市場は、週末13日(金)にメジャーSQという需給イベントが控える中、先週末6日(金)に公表された米8月雇用統計や、同じく8月分の消費者物価指数(CPI)の結果を踏まえながら織り込んでいくという相場地合いとなっていますが、今のところ目立った方向感は出ていない格好です。

もう少し具体的に見て行くと、先週末の米8月雇用統計の結果を受けた米国株市場が大きく下落し、日経225先物取引の終値もシカゴCMEで35,155円まで下落していたこともあって、今週の取引開始はかなり警戒感されていたのですが、実際には、日経平均は大幅下落でスタートしたものの、すぐに持ち直す展開となったほか、米8月消費者物価指数の結果を受けた12日(木)の取引も大幅上昇でスタートしています。

堅調にも見える日経平均ですが、米国株市場では、利下げの実施が前提となっている来週のFOMC(連邦公開市場委員会)をにらんで、一部で利下げ幅を0.25%から0.5%へ拡大を期待しているフシがありました。米雇用統計や消費者物価指数の結果は、いずれも0.5%の期待を後退させるものとなっているため、日米の金利差の観点から円高の進行がいったん止まったことが影響している面があります。

足元の日本株を取り巻く環境を見ると、今週12日(木)に自民党総裁選の告示が行われましたが、政策面ではすでに「金融所得課税の強化」や「年末調整の見直し」などが上がっており、株式市場にとってあまりポジティブでない話題も上がっているなど、為替の円安以外で積極的に上値をトライする材料に乏しい状況と言えます。

もちろん、2日間にわたって開催されるFOMCの初日17(火)には、注目の米8月小売売上高の公表が予定されており、仮にその結果が芳しくなければ、利下げ幅拡大期待で米国株が上昇する一方、為替の円高が見込まれる日本株は上値が重たくなる可能性もあるため、引き続き、米経済指標をにらんだ景況感と金融政策への思惑が相場のムードを左右することになりそうです。

さらに、今週は10日(火)(日本時間11日(水))に、米大統領選挙における候補者どうしのTV討論会が行われました。討論会を終えた両者の評価は、全体的には民主党候補のハリス氏が優勢となっています。共和党候補のトランプ氏への対策をしっかり練ってきた印象が強いほか、泣き所の移民問題や増税政策の話を上手くかわし、支持者に向けた発言が多かったトランプ氏に対して、米国民全体に向けてのメッセージを軸に発言したことなどが功を奏したと言えそうです。

とりあえず、「最初の関門」を無事に突破したハリス氏ですが、討論会では具体的な政策がまだ曖昧であり、今後の政策が見えてくることで反対意見が出てくることが想定されるほか、米大統領選挙には「オクトーバー・サプライズ」というジンクスもあるため、まだ情勢は不透明です。オクトーバー・サプライズとは、11月の投票日前の10月に選挙戦に影響を与える話題や材料が出てくるというもので、2016年の時には、優勢に選挙戦を進めていたヒラリー・クリントン候補の「国務長官時代の私用メール問題」が出てきたのもこのタイミングです。

したがって、油断できない相場展開はまだまだ続きそうです。

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