『本格化する米大統領選挙と株式市場』
今週の株式市場ですが、これまでのところ、国内では日経平均が38,000円台水準を意識した攻防戦の様相となっていますが、米国株市場では、NYダウが節目の4万円台を回復しているほか、NASDAQも節目の18,000pをうかがうところまで株価を戻してきています。また、S&P500については、5,600pを回復し、7月16日につけた最高値(5,669p)も視野に入ってくるなど、日本株よりも順調に戻り基調を辿っている印象です。
その背景には、株価急落後に公表された米経済指標(7月分の消費者物価指数や小売売上高など)が比較的堅調だったため、急落の原因とされた米景気後退懸念が緩和されたことや、9月の米FOMC(連邦公開市場委員会)で利下げの実施がほぼ確実であることがあらためて意識されたことが挙げられますが、23日(金)に予定されている、「ジャクソンホール会議(米カンザス連銀主催の経済シンポジウム)」でのパウエル米FRB(米連邦準備理事会)議長の講演がこうした相場の流れの追い風となれるかが注目されます。
その一方で、米国で盛り上がりを見せているのが米大統領の選挙戦です。今週19日(月)より、米民主党の党大会が開催されていますが、カマラ・ハリス氏が名実ともに民主党の大統領候補となりました。最近の世論調査では、共和党候補のトランプ氏との支持率が拮抗しつつあり、今後どちらが優勢になるのかは、9月10日に行われる大統領候補者の討論会によって左右されることになると思われます。そのため、9月の米国は大統領選と金融政策の2大イベントを控える重要な月になると言えます。
株式市場では、「もしトラ」から「ほぼトラ」といった具合に、当初はトランプ氏優勢だったのが、ここにきて、ハリス氏が当選する「もしハリ」シナリオが意識されるようになってきており、「その場合、どんな銘柄が物色されるのか?」といった質問を受けることも増えてきました。具体的には、クリーンエネルギー関連(再生可能エネルギーや電気自動車)、不動産、仮想通貨など、これまでの民主党政権の流れをくむものから、大麻合法化をにらんだ銘柄なども候補として挙げられそうです。
選挙戦が佳境を迎えるにつれ、こうした銘柄に買いが集まる場面もありそうですが、大きなテーマとてトレンドを形成するのかについては微妙かもしれません。今回の選挙戦で争点になるのは、「インフレ」、「移民問題」、「人工中絶問題」であるほか、民主党大会でハリス氏が訴えた政策(薬価引き下げ、食品の価格抑制策、若者向けの住宅購入補助、大企業への増税)については、反対する声も多くあります。
また、ハリス氏は、「トランプ氏再選を阻止する」という大義名分と、バイデン大統領が選挙戦から撤退を表明した時期が、正式なプロセスで新たな候補者を確立する時間的余裕がないという民主党の事情がある中で指名されたという面があり、足元の党大会ではハリス氏への支持の団結力がアピールされていますが、今後内部から批判が出てくることも想定されます。
そのため、大統領選をにらんだ個別物色は選挙の結果が出るまではあくまでもピンポイントであって、それまでの相場の本流は米国の景況感と金融政策の動向であることに変わりはなさそうです。
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