株式市場の一段高期待も、「時間調整」が続く?

2023/01/27

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は株価水準を切り上げる展開が目立っています。

テクニカル分析的には、週初の23日(月)に25日移動平均線から上放れる形で大きく反発、翌24日(火)には75日移動平均線を回復し、さらに、前回の日銀金融政策決定会合時の12月20日の下落前の株価水準をも超えてきました。チャートを過去に遡ると、昨年の日経平均は急落後の株価反発の局面において、75日移動平均線を超えてから一段高する傾向がありました。

こうした株高基調は日本株にとどまらず、米国株市場や欧州株市場、中国株市場などでも見られており、世界的に足元の相場は上方向への意識が強まっている印象です。目先の景況感については警戒感が根強いものの、景気の後退自体が米FRB(連邦準備理事会)の金融引き締め路線の早期転換期待につながるほか、ゼロコロナ政策の解除による中国経済の再開(リオープン)期待、欧州でもインフレのピークアウト感が出てきていることなどが原動力となっています。

とりわけ、米国については決算シーズンが本格化する中、冴えない業績や慎重な見通しを発表する企業がありながらも、米FOMC(連邦公開市場委員会)の開催が来週の1月31日~2月1日に控える中、「今春にも米FRBが利上げの停止を検討する」との観測記事が報じられたことが不安を打ち消す格好となり、株式市場での買いを誘っています。

もちろん、足元の市場が抱いている期待の通りに、「悪材料はほぼ織り込み済みで、ここしばらくの間が最悪期」となれば、株式市場の上昇基調は中長期的な流れへとなりますが、その一方で再び失速してしまう危うさも燻っている点には注意しておく必要があります。

今後の相場の方向性は、鈍化のスピードが「景気よりもインフレ」の方が強ければ株価が上昇しやすく、反対に、「インフレよりも景気」の方が強ければ株価は下落しやすくなるといった具合に、景況感とインフレの鈍化ペースのバランスが左右しますが、その見極めについてはまだ始まったばかりの段階です。引き続き、企業業績や経済指標、金融政策に対する思惑などが注目されます。

また、少し不安が後退しただけで株価が大きく上昇する最近の相場地合いは、景況感の悪化を織り込み切れていない可能性があるほか、中国のリオープンが期待外れとなることも考えられます。仮に順調に進んだ場合でも、需要増による原材料価格の上昇を招いてインフレの高止まりや再燃することも想定されるため、「やや楽観的な顔がある」点は意識しておく必要がありそうです。

そのため、目先の株式市場は、懸念や不安の織り込みを「値幅」による調整ではなく、「時間」をかけて行う調整になると思われ、一定の値幅内で株価が上下する展開が続くことになりそうです。

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