日本株は米国株よりも底堅いのか?

2022/09/09

今週の株式市場ですが、日経平均はこれまでのところ弱含みの展開が目立っています。7日(水)の取引終了時点で27,000円台前半あたりまで下落しているものの、翌8日(木)のスタートでは反発しています。また、テクニカル分析的には、200日・75日移動平均線の攻防となっているほか、6月安値(20日の25,520円)と8月高値(17日の29,222円)の上昇幅に対する「半値押し」水準にあるため、まだ相場が崩れている印象にはなっていません。

一方、米国株指数についても確認すると、NYダウとNASDAQ総合指数はともに、50日移動平均線を下抜けて、その乖離が進んでいることや、6月安値と8月高値の上昇幅に対しては「61.8%押し」水準も下回る場面も見せています。日米の株価指数の比較だけで見ると、日本株は米国株よりも底堅いようにも見えます。

こうした日本株が堅調と見做されている背景には、為替市場が歴史的な円安水準となっていることをはじめ、国内の新型コロナ対策における規制について、待機期間の短縮や入国制限の上限引き上げなど、リオープン(経済再開)期待につながっていること、当局による金融緩和と財政出動によって中国景気が底入れするという期待で国内の中国関連銘柄の一部が買われる動きを見せていることなどが挙げられます。

ただ、こうした材料のいくつかは危うさをはらんでいます。例えば、円安の要因となっている日米の金融政策による金利差拡大については、日銀のYCC政策が国債市場に歪みをもたらしているという指摘があるほか、輸入コスト増による国内物価高に対する批判もあり、今後政策が変更される可能性を否定できないことや、そもそも、日米でインフレ水準が拡大すると、外国人投資家から見た日本株投資が割に合わなくなるほか、国内投資家も日本株より米国株に投資をした方が良いリターンを得られることになり、米国株以上のパフォーマンスを見せるのは難しいかもしれません。実際に過去の相場において「円安イコール株高」とならない局面もあります。

また、中国の政策期待についても、これまでとは異なり、当局の目論見通りに成果が出るかが微妙になっています。実際に、当局の指示があっても、中国国内の不動産開発案件がスムーズに再開できていなかったり、住宅の購入者がローンの不払い運動を始めたり、一部の銀行では取り付け騒ぎが発生するなど、着実に「カネ回り」が悪くなっている印象があります。銀行は不動産デベロッパーに対しては開発資金を融資し、個人に対しては住宅ローンを貸し付けているため、こうしたカネ回りの悪化によって銀行へのダメージが蓄積されている可能性があります。足元では不動産企業の債務や経営が懸念されていますが、これが銀行に飛び火した場合には注意が必要です。

先日のパウエル米FRB(連邦準備理事会)のジャクソンホール会議での講演以降、楽観シナリオがいったん後退し、株式市場は足元で発表される経済指標などに敏感に反応しやすくなるなど、相場の時間軸が短くなっているため、来週13日公表の米8月CPIや、20日~21日にかけて開催されるFOMC(連邦公開市場委員会)までは値動きが荒いが想定されます。そのため、相場のムードに流されず、じっくりと買い場を探っていく局面なのかもしれません。

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