足元の日本株の強さは「いつか見た光景」か?
今週の国内株市場ですが、これまでのところ順調に株価の戻りを描いている状況が目立ち、日経平均は200日移動平均線や28,000円台などの節目を上抜け、直近の戻り高値(3月25日の28,338円)をも超えようとする動きを見せています。日経平均はここ3週間ほどで26,000円割れから28,000円超えまで2,000円以上も上昇させたことになります。
前回のこのコラムでも触れましたが、米国株市場に視点を移すと、こちらも株価の復調を見せているものの、8日(水)時点での米NYダウは33,000ドル台をはさんだ攻防となっているほか、50日移動平均もまだ上抜けていないため、日本株が強くなっている印象です。
こうした日本株の強さの背景にあるのは、約20年ぶりとなった為替市場の円安傾向をはじめ、インバウンド解禁などのいわゆる「リオープン」を好感する動きや、来月の参議院選挙を控えた経済政策期待などが挙げられます。また、今週末に控えるメジャーSQをにらんだ需給も追い風になっているかもしれません。さらに、日本株は世界の景気敏感株と見做されることが多いことも考慮すれば、中国上海市のロックダウン緩和の動きも好材料となっていることも考えられ、足元の日本株の上昇は、直近までの悪材料を一通り織り込んだという見方もあるようです。
もちろん、メジャーSQという需給イベントの通過で株価上昇が一巡し、売りに押される展開も想定しておく必要がありそうです。このメジャーSQと同じ日の10日(金)には、米国株市場でここ数カ月のあいだ「鬼門」となっている米消費者物価指数(CPI)が発表される予定でもあり、その動向も気になります。最近の米国株市場では、経済指標などの結果が好調だとインフレ警戒とそれに伴う金融政策のタカ派スタンスが懸念されて株価が下落し、反対に冴えない結果だと、ハト派スタンスが期待されて株価が上昇するという場面が増えているだけに、来週以降の相場地合いを左右しそうです。
また、来週以降からは、2月決算銘柄の決算発表が増え始めます。2月決算銘柄は小売りや飲食などの消費関連企業が多く、インフレによる業績への影響が焦点になるほか、足元で株高の要因となっている円安についても、企業によっては「コスト増とインバウンド期待との綱引きをどう捉えているか?」も注目されそうです。
この他にも、直近の日本株の急ピッチな上昇自体が意識されるかもしれません。チャートを過去に遡ると、今年の3月9日から25日の12営業日で3,620円、昨年8月20日から9月14日の18営業日で3,840円上昇するという場面がありましたが、いずれも日本株の上昇が目立っていたことや、株価が天井を付けた後に急落するという点で共通しています。今回もこれらのように、「いつか見た光景」になるとは限りませんが、注意しておく必要があるかもしれません。
最後に、目先の日経平均の上値の目処をテクニカル分析的に考えると、昨年9月14日高値(30,795円)から今年3月9日安値(24,681円)の下げ幅に対する「61.8%戻し(28,460円)」や「76.4%戻し(29,352円)」、29,000円水準、2022年の高値(1月5日の29,338円)などが意識されそうです。反対に、株価が下落した際には、これまで突破してきた移動平均線や節目がサポートとして機能できるかが注目されることになりそうです。
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