日本のコロナ「対応力」への懸念

2021/01/08

2021年相場入りとなった今週の国内株市場ですが、日経平均はこれまでのところ、昨年末の株高で乗せてきた27,000円台を維持する展開となっています。足元では新型コロナウイルス感染状況の悪化が懸念されながらも、株式市場は「下げ切らない強さ」を見せています。
2021年の株式市場の見通しについては、いわゆるコロナ禍のゲームチェンジャーとなり得るワクチンの普及や効果、継続的な金融・財政政策による社会・経済の正常化期待などによって、上昇を見込む声の方が多くなっています。また、警戒されていた米ジョージア州で行われた上院議員の決戦投票についても、大方の予想だった共和党ではなく、民主党の勝利になりそうにもかかわらず、規制強化や増税懸念よりも、目先の財政出動への期待によって米株市場は強い基調を保っています。
その一方で、丑年となる2021年は相場格言上で「躓き(つまづき)」とされていることも色々なメディア等で言及されています。実際に、過去の丑年の日経平均騰落率を遡ってみると、2009年(19%高)、1997年(21%安)、1985年(13%高)、1973年(17%安)と上げ下げが交互に訪れています。
今後も「将来の期待」と「現実の不安」との綱引きが続いていくことになるわけですが、足元では後者への懸念は着実に強まっています。相場の視点がさらに現実寄りとなるのであれば、次第に各国の対応力の差が出てくると思われます。社会・経済面での二極化や格差拡大などが問題視されつつある中、「ウイルスの不安を、ワクチンや金融・財政政策などが跳ね除ける」という単純な構図に変化が生じる可能性があるわけです。
日本国内では、年明け早々に緊急事態宣言が発令される事態となっていますが、6日(水)の時点で、何をどこまで制限するのか、どこまでの感染抑制を目標にしているのか、宣言の発令に伴う経済的なサポートをどうするのかなど、具体的な詳細はまだ発表されていません。ただ、何故か2月7日までという期限だけは決まっているようです。ちなみに、今年の中国の春節は2月12日(お休み期間は2月11日-17日前後)となっています。
今回の宣言発令について、政府・自治体の説明・内容が中途半端なままだと、信頼を得ることがむずかしくなり、GWや年末年始などの「稼ぎ時」を逃し、感染も抑制できなかったこれまでの経緯が繰り返されることになってしまいます。となると、さらにその先にある五輪の開催にも影響が出てきます。
五輪開催については、3月にIOCのバッハ会長が来日する予定ですので、開催の判断はそのタイミングで行われるのでないかと言われています。日本政府としては、コロナの状況がよほど悪化していない限り、無観客での競技実施や、参加国の規模縮小など、何とか開催に向けて動くことが予想されますが、少なくとも、海外各国から「感染リスクの高い日本には行きたくない」と言われないようにする必要があり、ワクチン期待があるとはいえ、実は時間的な猶予はあまり残されていません。
そのため、現在は日本のコロナを含めた対応力が試されている局面と言えます。ここでもたついてしまうと、今後の株式市場や社会・経済などの面で出遅れることになってしまうかもしれません。

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