株価急落で相場は崩れたのか?

2020/02/28

連休明けとなった今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は下げ足を強めています。25日(火)は取引時間中に前日比の下げ幅が1,000円を超える場面を見せるなど大きく下落し、翌26日(水)以降も軟調な展開が続いています。

 

株価水準は先週末の23,000円台から22,000円台へと一段切り下がっています。ここまでの株価急落を見せつけられてしまうと、相場が本格的な下落基調へと舵をきったような印象になりますが、果たして相場は崩れてしまったのでしょうか?

 

実際のところ、まだ基本的な構図は維持されていると思われます。そのポイントとしては、新型肺炎ウイルスに対する「(1)リスクのオンとオフのバランス変化」と「(2)時間軸の変化」です。

 

今週の日本株急落の発端は米国株市場の大幅下落ですが、新型肺炎の感染拡大がイランやイタリアなど世界各地に広がり、これまで「対岸の火事」だった欧米諸国の認識が変化したこと、そして、同時に感染の拡大によって「一時的」と見做してきた実体経済への影響が「思ったよりも長引く」可能性を意識し始めたことが背景です。

 

もちろん、新型肺炎の動向は現在進行中であり、このまま拡大が止まらない場合もあれば、収束に向かう場合もあります。そのため、現在の株式市場に反映されているのは「不安と期待の先取りした揺らいだ気持ち」になります。新型肺炎をめぐっては、1月下旬から2月上旬にかけての株式市場が急落と急反発を見せる場面がありましたが、足元でもその構図は変わっていません。ただ、中国全人代の開催をはじめ、習近平氏の来日や世界各地でのイベント、国内学校行事などが延期や中止になるなどの事態を受けて、軸足が不安寄りにシフトし、想定される株価の落ち着きどころの水準が下押しされたと考えるのが自然です。

 

今後、国内外で発表される経済指標や業績見通しについても、そろそろ新型肺炎の影響が反映され始めることになるため、「揺らいだ気持ちに対する実体経済への影響」の見極めや答え合わせがこれから始まります。

 

新型肺炎の状況が一服し、実体経済への影響が深刻でなければ、今週の株価の大幅下落は絶好の買い場という判断になります。また、各国の対策や金融緩和期待が支援材料になると思われますが、想定以上に新型肺炎の事態が長期化してしまえば株価の戻りには時間がかかりますし、そもそも、新型肺炎の影響による「ヒト・モノ・カネ」の経済停滞が懸念される中で、金融緩和でカネだけ動かしても、効果が限定的になることも考えられます。

 

したがって、今後の相場の値動きは迷いを示す場面が増えることが想定されるため、積極的な売買を仕掛けるにはかなりの勇気が要る相場局面に差し掛かったと言えそうです。

 

 

 

 

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