中国経済の「ホンネ」と「タテマエ」

2019/12/13

今週の国内株市場ですが、これまでのところ日経平均は引き続き23,000円から23,500円のレンジを中心とする推移となっています。米中協議の行方や米FOMCなどの各国の金融政策会合、そして週末のメジャーSQなど、今週はとにかく材料が多いだけに却って動きづらくなっている印象です。いずれにせよ、米中協議の「次の展開」待ちとなっています。

 

そんな中、中国では今週10日から「中央経済工作会議」が開かれた模様です。経済工作会議とは毎年12月頃に開催され、翌年の経済運営方針やGDP成長率目標などを決める会議です。今回注目されるのは、2020年の実質GDP成長率目標を引き下げるのかどうかです。昨年の会議では「66.5%」に引き下げられたため、今回も引き下げられれば2年連続になります。

 

実際に目標が公表される数値は来年3月の全人代(全国人民代表大会)まで待つことになりますが、ここに来て成長率目標が引き下げられる可能性が高くなっています。中国は2020年のGDP総額を2010年から倍にするという経済目標を2012年の共産党大会で設定しており、これまでの見方では年平均6.2%以上の成長が目標達成には必要とされてきました。

 

米中摩擦の影響による景気減速が懸念され、足元の数値はギリギリの6.2%だったため、目標達成がかなり危ぶまれていましたが、最近発表された経済センサスで従来のGDPが上方修正されたことで、2020年の成長率が5%台でも目標が達成できることになりました。タイミング的にかなり都合が良すぎる印象は拭えませんが、ひとまず中国当局の面子は保たれることになりそうです。

 

とはいえ、米中協議がさらに進展しなければ、中国経済の重石はとれず、景気が底打ちしてもその回復力は限定的となり、現時点での景気減速懸念は燻った状況が続くことに変わりありません。また、最近は中国企業の社債がデフォルトする事例が増えているほか、11月の外貨準備高が予想以上に減少するなど、いわゆる「カネ回り」が悪くなっている兆候が見られるのも気掛かりです。最近のいわゆる「デジタル人民元」について中国側が動きを加速させているのも、このカネ回りをコントロールしようとする思惑があるのかもしれません。

 

確かに、全体像を示すGDPだけで中国経済を捉えると、あまり明るい未来は描けませんが、5GAIなどの先進技術分野については多額の投資が行われて米国と覇権を争い、技術革新をいち早く取り入れて中国人民の生活が大きく変わっていることなど、一概に「中国経済はヤバい」と言い切れない面もあります。

 

そのため、中国経済について多角的に見ていく必要があります。中国経済の崩壊が議論されてかなりの時間が経過していますが、実際にはまだ実現していません。例えば、無理なインフラ投資によって鬼城(ゴーストタウン)が中国のあちこちで増えていますが、一部の状況だけですべてを語ってはいけない危うさが中国にはあります。

 

ただし、その分だけ中国は多くの矛盾やひずみを抱えているのも事実です。あらゆる場面で半ば強引にコントロールしようとする中国当局の手段が今のところ効いていると考えれば、抑えきれなくなった際には注意が必要ということになります。

 

 

 

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