投資家の期待値が上がらない展開続く
いよいよ11月も終わりに近づき、間もなく12月に突入する。朝晩の冷え込みが厳しくなり、インフルエンザも流行し始めているので、くれぐれもご留意いただきたいと思う。さて、遅くなったが10月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
10月のマーケットは日米市場とも急落する展開となった。
米国市場は4か月ぶりに反落。9月の雇用統計+13.4万人と予想の+18.5万人を下回ったものの失業率は3.7%と48年ぶりの低水準、9月の非製造業景況感指数は2008年以来最高となったことからNYダウは過去最高値26828ドルを記録。しかし、長期金利が3.24%と7年ぶりの水準に上昇し、貿易摩擦長期化懸念から10/10に831ドル安と流れが変わる。VIX指数が危険水準の20を超えたため、機械的な売りプログラムが発動され下げが加速し一時25000ドルを割る展開に。7-9月決算は事前予想の2割増益を確保。10月のNYダウは25115ドルと前月より1342ドル下落し月間騰落率は-5.1%。ナスダックは7305となり740ポイント下落の-9.2%となった。
東京市場は5か月ぶりに反落。日経平均は10/2に24270円と年初来高値更新および27年ぶりの高値水準。しかしながら、米国市場の急落や上海総合指数が3年11か月ぶりの安値を付けたため警戒感が広がり全面安に。ムニューシン財務長官が日本に対して為替条項を求める考えを示したことや、安倍首相が来年10月からの消費増税を表明したことも嫌気。VI指数は一時30を上回って2月以来の水準となり、投機的な売りが仕掛けられ乱高下。為替は先月末の113.50円から今月末は113.25円へ。売買代金は2.9兆円程度に増加。10月の日経平均は21920円で取引を終え、9月末の24120円から2199円下落し月間騰落率は-9.1%、Topixは-9.4%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-7.0%、マザーズ指数は-15.8%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における10月のパフォーマンスは-10.7%となり、年初来-4.6%、累計では+155.0%(9月末+185.5%)と大きく後退。10月末時点のポートフォリオの株式比率は73%で25銘柄を保有(9月末は87%で29銘柄を保有)。株式部分の含み益は+39.5%(9月末は+39.5%)。73%のうち現物株のウェートは35%、日経レバレッジETFの保有比率25%の実質ロング比率は50%でロングは合計85%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは60%のロングポジションである。
10月はとうとう日経平均が年初来高値更新&バブル崩壊後27年ぶり高値更新となり、為替も年初来円安となる114.55円を付けた。しかし、その後は2月に続いて米国発の急落が世界のマーケットを揺さぶった。久々に機械的なアルゴリズムの売りが発動されたことや、リスク・パリティファンドによる売りもかさんだことが急落をもたらした。
いったん大きく相場が下げると、1ヶ月程度は値動きの荒い展開が続くというのが経験則であり、11月のマーケットも乱高下が続いている、「年末に向けてなかなか株価が上がらない雰囲気が出始めている」と最近の投資講座において述べていたが、米中貿易摩擦による世界経済の先行き懸念、2Qにおいて過去最高の業績となった日本企業の下期減速懸念がつきまとっており、上値を買う投資家がいない状況である。一方、日経平均の予想EPSは1789円と過去最高水準を保っており、PERは12.4倍とアベノミクス相場における最も割安水準にある。
閉塞感の強いマーケットに変化が出てくるかどうかの最大のポイントは、12/2に開催予定の米中首脳会談であるが、ポジティブ、ネガティブともに柔軟に対処していく必要がある。12月の相場における株価は、年初来のマイナスリターンがゼロとなる日経平均22764円の奪回できるかどうかがポイントになるだろう。
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