上値を追えなくなった株式市場

8月もいよいよ終わりである。まだ残暑厳しい状態であるが、すっかり日が短くなったのを実感する。夏至からはすでに2か月が経過しており、本当の季節は2か月も先取りして動きていることになる。夜になるとあちこちから虫の音がかしましい。さて、遅くなったが7月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

7月のマーケットは米国市場の上昇に対して、日本市場は下落する展開となった。

米国市場は4か月続伸し、NYダウは過去最高値を更新。6月の雇用統計は+22.2万人と予想の+17万人を上回り、4月・5月分も上方修正。原油先物価格は生産見通しの引き下げで45ドル台から49ドル台まで上昇。イエレン議長が議会証言で追加利上げに消極的な姿勢を示したことで利上げペースが緩やかになるとの見方から買い安心感。6月の卸売物価指数は+0.1%と横ばい予想をやや上回る。主要企業の4-6月期の決算発表が本格化し、企業業績は概ね好調。7月のNYダウは21891ドルと前月より604ドル上昇し月間騰落率は+2.8%。ナスダックは6348となり204ポイント上昇の+3.3%となった。

東京市場は4か月ぶりに反落。北朝鮮がICBM長距離ミサイルの実験をおこなったためリスクオフの展開に。都議選での自民党大敗による影響は限定的。6月の雇用統計が好調で、ドル買い・円売りで一時114円台半ばまで円安となるものの、その後は米金利低下によりドル売り・円買いの展開となり株安に。売買代金は2.2兆円程度と低水準で推移。為替は先月末の112.05円から今月末は110.50円へ。7月の日経平均は19925円で取引を終え、6月末の20033円から108円下落し月間騰落率は-0.5%、Topixは+0.4%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+2.7%、マザーズ指数は-2.3%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」   における7月のパフォーマンスは+0.4%となり、年初来+3.6%、累計では+145.2%(6月末+144.3%)と前進。7月末時点のポートフォリオの株式比率は69%で19銘柄を保有(6月末は70%で19銘柄を保有)。株式部分の含み益は+14.6%(6月末は+14.6%)。70%のうち現物株のウェートは30%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計70%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率15%の実質ロング比率は-30%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-35%。トータルでは34%のロングポジションとなり、6月末の35%から低下した。

7月も米国市場は過去最高値を更新した。FRBの利上げペースが緩やかになるとの見方が一段と強まったためドル売りが広がり、好業績の米国企業にとっては一段の追い風となり期待が膨らんでいる。一方、日本株は円高に阻まれて相場全体が上昇しない状況になっている。値動きの思い膠着した相場環境は改善されなかった。

7月のFOMCにおいて、FRBが9月に金融引き締めを開始する可能性が高くなったことを確認した。ECBもこの秋に金融緩和策を転換する可能性があり、世界的な金融緩和がいよいよ終局を迎える可能性が高まりつつある。「一番重要なポイントは9月に予想される米国の金融緩和縮小とその影響」と何度も指摘しているが、米国の利上げペースが思ったほど進まない形になれば、テーパリングも非常に緩慢なペースになることが予想され、過度なリスクオフが起こらない可能性も出てきている。いずれにせよ、これから数週間の動きは非常に重要となるため、慎重に見極めていきたい。明確な方向が出てから動き出す方が得策のように思われる。

1Qの決算発表がほぼ終了したが主要企業の経常利益は+20%となっており、通期+6%に対して進捗率は良好である。日経平均のPERは14倍を切る水準まで低下。8月に入っても北朝鮮情勢や米政府運営の不透明感から円高トレンドからなかなか脱却しない状況にあり、上値を買っていく投資家がいない。しばらくこの状況が続くと思われる。

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