こういう銘柄にチャンスあり~知名度ゼロの小型景気敏感株~
いよいよ今年も大納会を迎えた。昔の大納会といえば半ドンと呼ばれる半日立ち合いで、午前11時にマーケットが終わると証券会社内では社内でおつまみを食べながら軽くお酒を飲んだり、帰省に向かう社員を送りだしたり…と1年頑張った後の特別なムードに包まれたものだが、世の中が世知辛くなって随分と風景が変わってしまった。さて遅くなったが、11月のポートフォリオの状況と12月の近況、そして現在の注目銘柄について記したい。
11月のマーケットも日米市場ともに上昇する展開となった。
米国市場は3ヶ月続伸。10月の雇用統計が+12.8万人と予想の+9万人を上回り、8月9月分も上方修正され、7-9月GDPも+2.1%と速報値の+1.9%から上方修正。景気減速懸念が後退するとともに中国政府が知的財産権の保護強化を発表し、トランプ大統領が米中協議の合意が近づいているとコメントしたことで買い優勢に。一方、パウエル議長が議会証言で「金融政策は現状が適切」と述べ低金利が続くとの見方が広がる。11月のNYダウは28051ドルと前月より1005ドル上昇し月間騰落率は+3.7%。ナスダックは8665となり373ポイント上昇の+4.5%となった。
東京市場も3ヶ月続伸。米国高を受けて日経平均は昨年10/5以来の高値となる23520円をつけたものの、香港情勢の悪化やトランプ大統領が香港の民主主義を支援する法案に署名するとの観測から米中関係悪化への懸念が広がり、日経平均は一時23000円割れまで売られる。その後はGSOMIA失効の回避や米中協議進展への期待から買い優勢に。為替は先月末の108.60円から今月末は109.45円へ。売買代金は2.3兆円程度と閑散状態。11月の日経平均は23293円で取引を終え、10月末の22927円から366円上昇し月間騰落率は+1.6%、Topixは+1.9%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+4.4%、マザーズ指数は+4.7%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における11月のパフォーマンスは+1.7%となり、年初来+10.4%、累計では+157.7%(10月末+153.5%)と前進。11月末時点のポートフォリオの株式比率は73%で27銘柄を保有(10月末は72%で25銘柄を保有)。株式部分の含み益は+29.5%(10月末は+26.3%)。ただし、73%のうち現物株のウェートは39%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計79%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは54%のロングポジションである。
11月も日米市場ともに堅調なマーケットとなった。日米株価格差は9月末の5161ポイントから10月末は4119ポイントへと大きく縮小していたものの、11月末は4758ポイントと再び差が開いている。日本市場は常に高値警戒感が意識され、米国市場の上昇に素直についていけない形となった。しかしながら、我々が注目してきた小型株に動きが出た。とりわけ月の後半においてグロース系小型株の健闘が目立った。11月の日経平均は+1.6%にとどまったが、ジャスダック平均は年初来高値を更新し+4.4%、マザーズ指数も+4.7%と健闘した。
12月もマーケットは堅調であり、米国市場は相変わらず主要3指数揃って過去最高値を更新、ナスダックに至っては初の9000ポイント台に乗せた。一方、日本市場は上値を追う意欲に欠け、利益確定売りに押される形となっている。日経平均は+2.3%に対して、ジャスダック平均は+4.3%、IPO市場での新規上場が活発となったマザーズ指数は-0.9%にとどまっている。現在売り手に回っている個人投資家が戻って来るかどうかはやはり小型株の動向だと考えている。
そうした中、まだ株価が動いていない知名度ゼロの小型景気敏感株は期待分野の1つである。次のような銘柄に注目しており、黙って持っていれば次の高値まで3倍前後のポテンシャルがあると考えている。
①日本鋳造(5609、東証2部)
鉄鋼大手のJFEスチールの子会社で日立建機も出資。金属を溶かし金型に流し込んでさまざまな部品を製造しており建機や橋梁向けに強い。低熱膨張素材という高い技術力を持っている。今期の営業利益は前期の6.6億円に対して半減の3億円だが期末一括で配当金を支払うため配当性向は3.1%、時価総額41億円、PBR 0.4倍となっている。上昇基調にある株式市場では景気敏感株はいち早く動いているのに当銘柄は動いていない。過去10年間のシクリカルな動きを見ると安値700円台~高値2000円であり、現在の株価は807円(12/27)なので1/3に放置されたままである。IR資料もなく、アナリストのカバーもない。
②日本金属(5491、東証1部)
ステンレスの圧延専業メーカーで、今期は中国景気減速が響いて営業利益は8.5億円と前期比67%減の厳しい決算。しかしながら、配当金は前期と据え置きの期末一括30円継続で配当利回りは3.15%。景気が良くなれば30億円の営業利益を出す力がある。景気敏感株にも関わらず株価はどん底状態で前回高値3000円レベルから1/3となっており、過去10年において最も割安水準にある。株価950円(12/27)で時価総額は65億円しかなくPBRは0.29倍に過ぎない。日本鋳造と同じく解散価値の1/3にとどまっている。
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