ますます日米の株価格差が拡大

いよいよ本格的な梅雨入りとなった。例年よりは気温が低くて過ごしやすい日が多いという印象だが、今日は湿度が高く真夏のあの「熱風」の前触れを感じさせる。いよいよ今年も半分の折り返し地点。年齢を重ねるごとに時間の経過が早く感じられる。さて遅くなったが、まずは5月のポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。

5月のマーケットは日米市場ともに大きく下げる展開となった。

米国市場は5ヶ月ぶりに反落。4月の雇用統計は+26.3万人と予想の+18万人を上回り、失業率は3.6%と49年ぶり低水準。しかし、米国が中国への2000億ドル25%の関税引き上げを実施し、さらに第4弾として3000億ドルの関税品目を発表。さらにトランプ大統領が米国企業にファーウェイとの取引停止措置を発動。リスク回避から米国債が買われ、株が大きく売られる構図が鮮明に。長期金利は1年8か月ぶりに2.2%の水準まで低下。5月のNYダウは24815ドルと前月より1777ドル下落し月間騰落率は-6.7%。ナスダックは7453となり641ポイント下落の-7.9%となった。

東京市場も大幅反落し、令和への改元ムードに花を添えられず。米国による中国への関税引き上げやファーウェイへの制裁により景気先行きへの警戒感が広がる。内閣府の3月の景気動向判断が6年2か月ぶりに悪化に変更。日経平均は20600円台と2/8以来の低水準に。為替は先月末の111.65円から今月末は108.90円へ。売買代金は2.4兆円程度と薄商い。5月の日経平均は20601円で取引を終え、4月末の22258円から1657円下落し月間騰落率は-7.4%、Topixは-6.5%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-3.3%、マザーズ指数は-4.3%となった。

太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」における5月のパフォーマンスは-6.1%となり、年初来+0.3%、累計では+134.1%(4月末+149.5%)と大きく後退。5月末時点のポートフォリオの株式比率は67%で24銘柄を保有(4月末は71%で26銘柄を保有)。株式部分の含み益は+13.6%(4月末は+23.0%)。ただし、67%のうち現物株のウェートは33%、日経レバレッジETFの保有比率20%の実質ロング比率は40%でロングは合計73%。これに対し日経ダブルインバースETFの保有比率10%の実質ロング比率は-20%、純金ETF5%は株式とは逆の動きをするため、これらのロング比率は-25%。トータルでは48%のロングポジションである。

5月は日米市場とも大きく下落した。米中貿易摩擦の長期化に加えて、月末において米国がメキシコに追加関税を課す方針と伝わったことで投資家心理が一段と悪化した。NYダウは5週続落、日本市場も4週続落となりリスク回避の動きが続いた。

6月に入って日米市場ともに一転して上昇する展開となったが、これはひとえにFRBの金融緩和転換への期待が高まったためだ。S&Pは過去最高値を更新し、NYダウも昨年10月の高値26828ドルまであとわずかに迫る健闘ぶりを見せている。もちろん景気減速という懸念は高まりつつあるが、金融緩和を実施すれば株式市場にマネーが大量に流れ込み、「不況の株高」といういわゆる金融相場が起こる。それを先取りする動きが出ている。日米株価格差は残念ながら一段と拡大し5500ポイントの差がつく形となっている。この差は過去最高レベルとなっており、日本株の出遅れ感がますます顕著である。為替もいよいよ106円台の後半まで円高となり逆風が続いている。

再三指摘しているように日本市場の全体の方向性は米国次第である。ビジネスマンとしてのトランプ大統領の交渉術、すなわち第4弾の関税引き上げとファーウェイへの制裁で中国に最大限の圧力をかけて、満足のいく譲歩を引き出す戦略が奏功するかどうか、我々はその動向を見守るしかない。

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