驚愕の日本企業収益性向上、その秘密と持続性
~日本が打ち立てた企業内国際分業モデルの威力~

【ストラテジーブレティン(208号)】

(1) 驚愕の収益性向上を無視する市場

歴史的利益率の上昇をどう見るか
法人企業統計2018年4~6月分が発表され(9月3日)、海外メディアはその利益率上昇に驚愕した。売上高経常利益率は全産業(除く金融保険)で7.7%、製造業で10.5%と過去最高を記録した。図表1に見るように、経常利益率は高度成長期からリーマン・ショック前後まで、2~4%の推移していたことを考えると、アベノミクス登場以降の5年間で2倍以上に上昇したことは、画期的かつそのトレンドがさらに加速している、ことをうかがわせる。

海外投資家やエコノミストは持続性に懐疑的
FT(9/13)、WSJ(9/10)はそれぞれビジネスセクションの一面で、この事実を報じたが、その解釈は混乱したものであった。空前の利益率上昇にもかかわらず、好対照に日本株式が低迷している、ということは、企業収益の持続性に懸念がある、というものが共通の説明であった。あえて整理すれば、①利益率の向上が十分な売り上げ増加を伴っていないこと、②リストラとコスト削減、企業のコーポレートガバナンス向上による生産性向上努力が利益率向上の主因でそれらは一過性であること、などが根拠とされていた。懐疑論は日本国内も共通である。日本国内メディアはそもそも長期的視野に基づく関心は低く、歴史的利益率上昇の事実はほとんど報道されなかった。大半のエコノミストと市場参加者は、依然として日本経済と市場に警戒感を持つよう、推奨している。

 

>>続きはこちら(1MKB)

株式会社武者リサーチ
「論理一貫」「独立不羈」「歴史的国際的視野」をモットーに、経済と金融市場分析と中長期予想を目的とし提供していきます。
著作権表示(c) 2013 株式会社武者リサーチ
本書で言及されている意見、推定、見通しは、本書の日付時点における武者リサーチの判断に基づいたものです。本書中の情報は、武者リサーチにおいて信頼できると考える情報源に基づいて作成していますが、武者リサーチは本書中の情報・意見等の公正性、正確性、妥当性、完全性等を明示的にも、黙示的にも一切保証するものではありません。かかる情報・意見等に依拠したことにより生じる一切の損害について、武者リサーチは一切責任を負いません。本書中の分析・意見等は、その前提が変更された場合には、変更が必要となる性質を含んでいます。本書中の分析・意見等は、金融商品、クレジット、通貨レート、金利レート、その他市場・経済の動向について、表明・保証するものではありません。また、過去の業績が必ずしも将来の結果を示唆するものではありません。本書中の情報・意見等が、今後修正・変更されたとしても、武者リサーチは当該情報・意見等を改定する義務や、これを通知する義務を負うものではありません。貴社が本書中に記載された投資、財務、法律、税務、会計上の問題・リスク等を検討するに当っては、貴社において取引の内容を確実に理解するための措置を講じ、別途貴社自身の専門家・アドバイザー等にご相談されることを強くお勧めいたします。本書は、武者リサーチからの金融商品・証券等の引受又は購入の申込又は勧誘を構成するものではなく、公式又は非公式な取引条件の確認を行うものではありません。本書および本書中の情報は秘密であり、武者リサーチの文書による事前の同意がない限り、その全部又は一部をコピーすることや、配布することはできません。