歴史的金利低下の下での米株史上最高値の謎を解く ~米国は日欧が陥った「流動性の罠」を回避できる~
【ストラテジーブレティン(165号)】
空前の世界的歴史的長期金利の低下が進行している。今まで経験したことのない新事態であり、人々を不安にさせてきた。それは昨年夏以降の世界株安と同時に進行してきたわけで、「リーマンショック級の危機が到来する」という悲観論の根拠であった。しかし、今米国株式が史上最高値を更新すると言う、新たな事実が起こった。これをどう解釈するべきだろうか。武者リサーチは悲観論の根拠が根底的に否定される可能性が高まったと考える。
(1) 世界的金利低下の下での米国株史上最高値更新
長期金利低下を柱とする悲観の論理
図表1 に見るように、世界的歴史的長期金利の低下が進行している。英ポンド金利の急低下により先進国でまともな金利がついているのは米国だけとなった。この金利低下は暗い将来の予兆であると言うものが、市場では多数を占める意見であった。そして悲観論の根拠とされる4 要因はいずれも説得力を持っていた。①資金需要が乏しいこと➡人々は悲観的になりリスクを取ろうとしない、②過剰な中銀の金融緩和➡マネーの過大供給と言う間違った政策の結果さらに金利が下げられている、③世界的に生産性上昇率が低下している、④世界的金融不安・株価下落と共振、という4 要因である。
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