株式市場、年度初めの日本株独歩安をどうみるか

【ストラテジーブレティン(158号)】

(1) 世界危機の懸念は沈静化、リスクテイク回復

新関:武者リサーチ代表の武者陵司に「株式市場、年度初めの日本株独歩安をどうみるか」の話を聞きます。宜しくお願いします。米国をはじめ世界株式は年初来高値に接近しています。そして中国発の世界金融危機は封じ込められたようですが、これらについてコメントをお願いします。

武者:1月、2月は世界の株式は大暴落となりました。中国発の国際金融危機がいよいよ起こるのではないかとジョージ・ソロス氏などは中国のハードランディングは不可避として人民元や香港ドル売りを仕掛けました。一気に中国発の危機モードが高まったのです。しかし、その様な危機モードは2月の半ば以降急激に沈静化し、世界主要国の株式は年初来の高値に戻っています。1割強下落したアメリカの株価も年初来の高値圏ですし、同時に売られた新興国の株式或いは新興国の通貨(ブラジルレアルやオーストラリアドル)なども大きくリバウンドして世界の金融市場全体としては危機モードが一旦沈静化したという状況です。2016年は世界経済は望ましい着実な拡大に入る可能性が強まってきたと思います。その一番大きな理由は世界の中心であるアメリカ経済がしっかりしていて、アメリカの消費が世界経済を牽引するということです。日本欧州も緩慢ながら消費は拡大し雇用も改善しています。他方で問題とされていた中国の危機が様々な手立てによって封じ込められそうだということも背景にあります。この様に世界全体としては望ましいリスクテイク環境に入ってきていると言えます。

 

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