何故日米で選挙後の株高が見込まれるのか
~財政政策の本格始動~
【ストラテジーブレティン(367号)】
(1) 明らかな民意・・・減税、デフレ脱却で家計の所得を増やすこと
衆議院総選挙で、自民党(247→191議席)と公明党(32→24議席)が大敗し、両党計で215議席と72議席を失い、与党が過半数(233)を下回った。他方野党は、立憲民主党(98→158)、国民民主党(7→28)、れいわ新選組(3→9)、新興保守2党(参政党・日本保守党)(1→6)と、特に立民の躍進が目立った。一見保守からリベラルへと、支持が旋回したように見えるが、それは全く違う。
より正確に民意を表わすとみられる比例代表での政党別得票数を比較すると、自民が1991万票から1458万票へと537万票減らしたのに対して、立民は1149万票から1156万票へと7万票しか増やしていない。自民の喪失分のほぼ全ては国民民主(256万票→617万票)358万票増、新興保守系2党(0→301万票)301万票増へと流れた。自民と国民民主、新興保守2党との政策的違いは減税に対する態度である。国民が103万円の壁撤廃と言う大幅な所得減税を唱えているのを始め、保守系野党の全ては消費税減税を主張している。
増税(または税中立)政党から減税政党へ、票の大移動が起きているのはリベラル系政党でも同じである。大企業増税を主張する共産党が80万票の大幅減少(416→336万票)、社民党が8万票減(101→93万票)になった一方、減税に徹するれいわ新選組は(221→381万票)、160万票の大幅増となった。このように見ると、民意は保守においてもリベラル政党であっても増税バイアスのある政党から減税推進による、家計可処分所得の増加にあったことは明らかである。