快方に向かう世界経済と市場 ~ 懐疑の中で強気相場が育っている可能性
【ストラテジーブレティン(324号)】
(1) 悲観のさなかのポジティブサプライズ
IMFの上方修正
2023年は悲観の中で始まった。ウクライナ戦争と米中対立、40年ぶりのインフレと急速な金融引き締めなどの懸念山積により、身構えて迎えた2023年であった。しかし、1月の展開はうれしい驚きとなっている。まずIMFが2023年世界経済見通しを上方修正し、リセッションに陥らないと表明した。2023年は2.9%と2022年の3.4%より減速するが、昨年10月時点での予想比0.2%ポイントの上方修正となった。修正をけん引したのは2大国、米国と中国の見通しの改善である。中国は厳格なコロナ政策の解除により、経済が正常化するとみられ4.4%から5.2%へと上方修正された。米国はインフレのピークアウトによる金融環境の好転等により1.0%から1.4%へと修正された。深刻であったユーロ圏の成長率も暖冬などによる天然ガス急落にけん引されて物価上昇がピークアウト、政府によるエネルギー価格上昇補填政策も寄与し0.5%から0.7%へと引き上げられた。円安効果と財政政策の寄与が期待できる日本も、1.6%から1.8%へと修正された。
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