マイナス実質金利の下でのドル高進行
~米国のマイルドランディングを可能とする2大要因~
【ストラテジーブレティン(313号)】
前人未到の環境、Data Dependentで
2022年は前人未到の不透明な環境の下で始まった。米中対立と保護主義、40年ぶりの高インフレ、サプライチェーンの寸断、急ピッチ利上げ・金融引き締め、コロナによる働き方・生き方の変化と労働市場の変質(=労働者のバーゲニングパワーの増大)、そしてとどめがウクライナ戦争とエネルギー危機、であった。どのような形に収まっていくのか、全く読めない、FRBパウエル議長が繰り返し述べているように、Data Dependentデータを注視し弾力的に来るべき時代の輪郭を考えるほかない状況である。
リスクテイク促進の時代はまだ終わっていない
但し、決めつけは危険である。ディスインフレ時代の終焉とインフレ時代の到来、低金利から金利上昇の時代へ、グローバリゼーションの頓挫(国際分業の進展から国際的分断・対立の時代)へ、小さな政府から大きな政府(規制緩和から規制強化)等、が所与のもののごとく語られている。金融資本市場でも、市場フレンドリーな中央銀行が潤沢な流動性を供給しリスクテイクを後押ししたGreat moderationの時代が終わり、よりリスクとボラテリティが高い時代に入る、との想定が語られているが、そうだろうか。
相対的低金利継続、ドル高時代始まる
何が変わるのか、何が不変なのかの見極めが大事である。まず相対的低金利が変わらなかったことが驚きである。次にドル高へと為替相場が大きく変わったことが驚きである。この相対的低金利継続とドル高こそ、米国経済マイルドランディング、その後の成長加速の推進力になるだろう。武者リサーチはコロナショックによっても頓挫しなかった米国の長期株高トレンドは健在と考える。
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