敵対関係に入った米中、その経済・投資への含意

2020/07/28

【ストラテジーブレティン(257号)

米国の対中姿勢が根本的に転換した。①中国のサラミスライス戦略(既成事実を積み上げて支配領域を拡大する)を容認できない臨界点に達したこと、②トランプ再選の軸に対中政策を据えたこと、の2つの理由により、トランプ政権は対中抑え込み策を矢継ぎ早に繰り出すだろう。その手段として、外交的連合の形成、在米中国領事館の閉鎖など外交的制裁とともに、限定的軍事行動(南シナ海人工島の爆撃?)も排除しきれなくなった。

情勢は急速に緊張感が高まる方向にある。短期的には警戒を強めるべき場面であろう。アメリカのアクションに対して中国に抵抗能力がないと分かった時、大きなボトムフィッシュの機会が訪れるだろう。それは大統領選挙前に実現するかもしれない。

米中デカップリングは確定的。米国は時間をかけて中国排除のグローバルサプライチェーンを確立し中国経済の弱体化を目指す。企業・投資家は3年後を見据えればどちらにつくべきか、踏み絵を踏まされることになろう。

(1) 守勢(不正に対する制裁)から攻撃(中共産党変革)にかじを切ったトランプ政権

受動から攻めへ
米国の対中姿勢が守りから攻めへと180度転換した。これまでの対中姿勢は、中国の不正に対する是正要求であり受動的。しかし今後は新たに事実上の敵と設定した中国共産党変革が到達目標になり、軍事力行使を含めてあらゆる手段が検討される能動的なものになる。米国の対中展開は迅速化し、コストと副作用をいとわない可能性も出てくる。投資に対しては相応の警戒が必要になってきた。

6月中旬以降のトランプ政権の転換は目覚ましい。香港国家安全維持法実施(=一国二制度の否定)までの米国の対中対姿勢はもっぱら守りであった。しかしポンペオ米国務長官は13日、南シナ海での中国の海洋進出に関して声明を出し「南シナ海の大半の地域にまたがる中国の海洋権益に関する主張は完全に違法だ」と批判した。これまで国境紛争には中立の立場をとり続けてきた米国政策の根底的変更である。2016年7月のオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決を支持する考えを示した。

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