国際金融市場の悲鳴は GOOD NEWS
~政策発動を促し、市場大転換へ

【ストラテジーブレティン(231号)】

日欧では銀行ビジネスが成り立たなくなった
米中貿易戦争だけなら世界経済はリセッションに陥らないだろう。Brexitや香港での抗議活動も最後は経済合理的な帰結に落ち着くと思われる。習近平氏は混乱を長期化させ、香港経済の疲弊を狙い、香港の経済機能を深圳に移そうとするのではないか。武力制圧はしないだろう。

真の危険は国際金融市場の機能不全であろう。様々なネガティブイベントをきっかけとして(口実として)金融悪循環が起きれば、事態は最悪に向かう可能性が出てくる。その危険性はどれほどあるのだろうか。

図表1, 3に見るようにいつの間にか日本、欧州は長短ともにゼロ金利に陥り、長短金利差がなくなり、銀行の利ザヤは完全にフラット化or逆転し、銀行ビジネスは預貸業務においても、債券分野でも収益があげられなくなった。銀行はリスクテイクどころが、完全にリスク回避者となっている。銀行株式が、特に欧州と日本で最悪のパフォーマンス、リーマンショック時の最安値すら下回っていることが事態の深刻さを示している。唯一米国だけは金利が正常に機能しており、今のところ銀行収益は健全である。しかし、米国が日欧化しゼロ金利に陥るのか、回避できるのか、ここ数週間の世界的長期金利の崩落、米国での逆イールド化により、米国の日欧化(Japanification, Europification )の危険が意識され始めた。それこそが現在の焦点であり、来るべきジャクソンホール会議の最大テーマになっている。

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