FM 今週のポイント(8月21日)
*先週は月曜日と金曜日に大きな下落相場に見舞われました。月曜日の下落は北朝鮮情勢の悪化(グアム島への ICBM 発射準備完了報道)、金曜日の下落はトランプリスクの台頭です。トランプ大統領の白人至上主義への対応に対する混乱から、リスクオフの動きが広がり、米国株は大きく下落(NYダウ:1.24%下落)、ドル円相場も大きく円高進行となりました。どちらも、非ファンダメンタルズ要因によるマーケットの混乱です。米国株式市場のボラティリティが消えて久しく(VIX 指数の低下)、多少の波乱が想定外の相場変動を引き起こす懸念があります。懸念を持った目にはボラティリティ上昇の先行指数であるスキュー指数が上昇していることが気になります(シカゴ・オプション取引所(CBOE)が 2011 年2月 23 日から公表する、S&P500 を対象とするオプション価格のデータ(アウト・オブ・ザ・マネーのオプション価格)を使用し、市場の歪みを数値化したリスク指標。これは、ファイナンス理論で「テール・リスク」あるいは、「ブラック・スワン・イベント」と言われる、極端な事象(突発的に発生する大幅な下落)が発生するリスクを示す指標となっている)。スキュー指数は、8月 16 日には 148.75 ポイントまで上昇しています(週末は 128.86 ポイント)。ただし、今年の3月 17 日には 154.34 ポイントまで急騰していることを考えると、現局面のスキュー指数上昇を大変動の前触れと考えることは短絡的です。ちなみに3月 16 日からNYダウが8日連続して下落しましたが、トータルで 400 ドル下落に過ぎませんでした。結論的には、「ブラック・スワン・イベント」もファンダメンタルズの悪化傾向が伴わなければ起こりえないものと思われます(いつも弱り目に祟り目)。CTA 等の短期筋のポジション調整だけでは相場トレンドは屈折しないと思います(目先は日経平均株価 19,400円が最重要ライン⇒このレベルを割ると、4 月末から CTA が構築したロングポジションが含み損を抱えやすく、日経平均は短期的な形勢逆転が困難になる⇒短期的には 19,000 円割れが視野に入るが、単なる需給要因であり相場の大きなトレンドが終了するわけではない)。
*従って、弱気ムードが発生している時にはファンダメンタルズチェックが重要です。先ずは、国内企業の業績を確認すると、事前予想を上回る良好な 4-6 月期(3-5 月期含む)決算であることがわかります。TOPIX 採用企業の 4-6 月期(3-5 月期含む)の売上高は前年同期比+4.5%、経常利益は同+16.5%とマージンが改善する形で増収増益となっています。さらに Quick コンセンサス予想のリビジョンは TOPIX 全体で 29.2%、製造業で 37.7%、非製造業で 18.8%と製造業中心に上方修正優位となっています。また、2017 年度の 4-6 月期の進捗率は 24.2%で、2013 年度から 2016 年度までの中央値の平均より高く、上方修正の優勢が続くと想定されます。そして FRBの金融政策転換スタンスも重要です。8月 17 日に発表された FOMC 会合(7月 25-26 日開催)の議事録によると、「多く」の参加者がインフレ率に関して現在見込まれているよりも長い期間、2%未満にとどまる可能性があるとの認識を示し、バランスシート縮小に関しては9月の可能性を示唆しながらも明示することを避けています。ハト派的な金融政策転換シナリオの確率が高まっています。ファンダメンタルズは良好です。
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