FM 今月のポイント(2016年11月)

2016/10/31 <>

*適度な原油高とドル高が共存、徐々に世界的にリスクオンの度合いが高まりつつあるようです。原油価格は 1 バレル 50 ドル前後で推移しています(米原油在庫の引き締まりや、OPEC の減産方針で年初の 20 ドル台から大きく回復)。一方でドルの実効為替レート(ドルの総合的な実力)は28 日時点で 127 の高水準を示しています(2008 年=100)。11 月の米利上げはほとんどありませんが(FF レート先物から判断すると確率 8%程度)、12 月の利上げ確率は 80%を超えており、ドル高基調はますます高まりそうです。10 月 28 日のドル円相場も一時、3 ヶ月ぶりの 105 円台にドル高が進みました。大統領選挙で波乱が無く(現状はクリントン氏有利でトランプ大統領の可能性は極めて低くなっている)、11 月 4 日発表の 10 月米雇用統計が順調な数値を示せば 12 月 13 日~14 日の FOMC(利上げ決定)までドル高基調が継続するものと思われます。注目された中国共産党の重要会議、第 18 期中央委員会第 6 回全体会議(6 中全会)が終了、発表されたコミュニケでは従来と違い、経済問題にほとんど触れられていませんでした(習総書記を党にとって別格の指導者である「核心」に位置づけるなど、政権の権威を高めるようとするものが中心:「核心」は毛沢東、鄧小平、江沢民に続いて 4 人目)。世界は中国の経済減速、人民元安を懸念して相応な対策を期待していましたが、完全にスルーです。これは習近平政権が権力基盤の強化を追い求め、経済を二の次にしていることの顕われと考えるよりも、余裕と捉えたほうが良いと思います。つまり、現状の経済減速も人民元安も政府のコントロール下にあり、米国の利上げが想定される基でも、中国発の経済ショックの発生は無いと確信しているものと思われます。前述のように原油価格が 50 ドル近辺で安定していることが中国政府を強気にさせているようです。IMF の 10 月世界経済見通しでは 2016 年の新興国の成長率見通しを 0.1%引き上げて 4.2%にしています(特にロシア、ブラジルの伸張が大きい)。中国を含め新興国の復調は米国が利上げする局面では世界のリスクマーケット安定にとっては大変重要なポイントとなります。当面は(ドル高、原油高の並存が続く限り)リスクオンの度合いが高まるものと思われます。

*日経平均株価は 17,500 円の節目を抜けようとしています。リスクオンの伸展で外国人投資家の日本株買い戻しが続けば一段の上値追いの可能性が高まります(10 月に入って現物+先物で外国人投資家は 1 兆 4,500 億円日本株を買い越している)。中間決算は想定通りの下方修正ながら(10 月28 日現在:東証 1 部 2 月・3 月決算企業の決算集計:件数ベースで 27% 時価総額ベースで 28.8%発表:通期下方修正率は営業利益▲1.9%、経常利益▲2.5%、純利益▲4.4%)、株価の反応は全体感では買戻し先行です。特に為替前提を 100 円前後に見直している製造業が多く、現状の 105 円前後と比較した安心感が広がっているようです。12 月 FOMC 前後まで日経平均株価主導(為替感応度が高いシクリカル系)の上昇相場が期待できます。

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