FM 今週のポイント(10月24日)

2016/10/24 <>

*日経平均株価 17000 円台を回復して少し安心感が出てきたようです。トランプ氏が大統領になる確率はきわめて低くなり(まだまだ何が起こるかはわかりませんが)、米国の企業業績も想定内ながら順調です。ドル円相場も円安気味に推移して、国内企業業績(4-9 月決算)の下振れも悪材料出尽くし的な評価が成され易くなっています。このところ外国人投資家の日本株買い越し基調が続いていることも頼もしい限りです(10 月に入って外国人投資家は日本株を現物+先物で1兆円弱買い越している:ただし、1月以降6兆 3000 億円の売り越し)。外国人投資家の買戻しは原油等の資源価格が上昇していることからリスクオンモードが強まっているからです(ノルウェー政府年金基金の株式投資拡大等のポジティブなニュースフローが多くなっている)。今週は先週のリスクオン基調を引き継いで日経平均株価 17500 円に迫ることができるのかポイントになります。

*ただし、基本的には様子見姿勢が続いていることに変化はありません。大統領選の趨勢は明らかになりつつありますが、12 月の米国利上げが世界のリスク資産に及ぼす影響を見極める必要があります。昨年 12 月の利上げ同様にタイムラグを伴って激しくリスクオフに転じることも考えられ、油断は禁物です(昨年 12 月の利上げに伴い、年明けの2月にかけてチャイナショックが発生、世界のリスク資産は大きく減価した)。米国が利上げする度に潜在リスクが顕在化するのが従来のパターンです。今回も潜在リスクの筆頭は中国です⇒今年の2月時同様に輸出額が大きく減退、外貨準備高が減少、人民元が低下を続け、投資資金の国内退避が懸念されています。折りしも中国企業の債務問題がクローズアップされ、中国政府も本腰を入れてデレバレッジを推進しようとしています(BIS の統計によると 2016 年3月末時点の企業債務の GDP 比は 169%で、この8年間で 70%も急増している)。6.5%の公表 GDP 目標を維持しながら企業のデレバレッジを推進しようとすると一段の人民元安誘導による輸出拡大が必要になります。ただし、この政策は外国資本が本格的に流出する可能性を高め、人民元安を制御できなくなるリスクを高めます(人民元のコントロールには莫大な外貨準備高の減少を伴う⇒世界的な過剰流動性モメンタムの減退につながる)。

*しかし、当面はリスクオンの状況が続くと思われます。米国の利上げ前の状況で上値は重くなる
可能性がありますが、投資資金は日本株に入りやすくなります。本格的な円安への修正が無く、長期金利が低下気味の場合は新興株を中心とした小型株群に資金が向かいやすくなります。早期リスクオフ転換を前提としたリスクオンの状況ではβよりもα戦略が有効と思われます。スペシフィックリターンを高める努力を続けます。

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