FM 今週のポイント(10月11日)

2016/10/11 <>

*注目された9月の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比15 万6000 人増加しました(増加幅は市場予想の17 万人強を下回り、失業率も5.0%と3カ月ぶりに悪化)。ただし、マーケットでは、雇用の改善基調は保たれ、FRB が年内にも追加利上げに動くとのシナリオは維持されたとの見方が多いようです。しかし、週末のドル円相場は雇用統計発表後1円程度の円高ドル安水準となっています。先週は円安を背景に大型バリュー・シクリカルを中心に上昇した国内株式市場でしたが、今週は一段の上昇にブレーキがかかりそうです。そもそもファンダメンタルズを勘案すれば依然として円高基調が継続する時季にあります。ドル円相場を規定する2大ファンダメンタルズ要因とみなしている日米実質金利差と貿易収支を診ると、依然として円高バイアスがかかっています(原油高が継続して国内CPI が早期にプラスになり貿易赤字が拡大しないと円安方向には向かい難い)。しかも大統領選挙前にドル円相場の方向性が顕われるとは思えません(トランプ大統領で90 円方向に行くか?、ヒラリー大統領に安倍首相の財政拡大策を評価され110円方向の円安となるか?⇒トランプ大統領の目は少なくなったようですが)。当面は1ドル100円~104 円のレンジで推移するものと思われ、円安を材料とする大型バリュー・シクリカル銘柄が一段と上昇することは難しいものと思われます。

*ドル円相場が膠着すれば、国内株式市場を動かす材料となるのは通常、業績発表です。今週は2月決算企業の3月~8月期決算の発表が大詰めを迎えます(ユニー・ファミリーマートHD、ローソン、ファーストリテイリング等)。既発表の小売各社の業績は芳しくありません(発表後、株価は大きく下落傾向⇒ABC マート:8.9%、イオン:3.6%、セブン&アイHD:3.7%下落)。個人消費の低迷とインバウンド需要の減退が足元の小売各社の業績を押し下げています。11 月に入ると3月決算企業の4月~9月期業績の発表が本格化しますが、内需系企業の下振れは10 月中に織り込まれる可能性があります。中国景況感の持ち直し、原油価格の回復もあり、外需系企業の業績は想定以上の落ち込みを確認していませんが、リビジョンインデックスの低下傾向は鮮明になっています(業績への期待感は少ない⇒11 月の決算発表までに、ある程度の下振れを織り込むことで株価が現状水準から上昇しなければ、4月~9月期決算の下方修正で材料出尽くし的に株価上昇に弾みがつく可能性があります(米国景況感の堅調持続、中国景況感の持ち直し継続を前提にすれば割安銘柄が多い)。しかし、現状の国内株式市場において業績発表は全体相場を持ち上げる要因としては力不足で、個々の銘柄の選別色を大きくする効果が高いことを意識したほうが良いと思います(決算プレビューが無くなり、決算発表後、株価が過度に変動するケースがある)。

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