FM 今週のポイント(8月22日)

2016/08/22

*先週はバリューシフトが鮮明な一週間でした。グロースを買い直した方が良いのか、バリューを持つべきか悩ましい投資家が多い中で、日銀のETF 買い期待も大きくバリューに軍配が上がったようです。ただし、今週もバリューが優位とは言い切れません。ドル円相場は再度の99 円台を付け、一段の円高傾向を示しています。7月のFOMC 議事録が公表されましたが、早期の利上げについて意見が分かれています⇒「幾人かは、インフレが当局の現在の予想よりも速いペースで上昇した場合でも、当局には反応する十分な時間がある可能性が高いことを示唆したほか、インフレ率が継続的に2%に近づきつつあるとの確信を強められるまでFF金利の追加引き上げを遅らせるのが望ましいとの考えを示した」と記され、また一方で、「他の一部参加者は、最近の経済情勢について、労働市場の環境が最大限の雇用確保と整合するか、もしくはそれに近い状態を示していると評価したほか、金融政策緩和の段階的な解除をさらに進めた場合でも委員会のインフレ目標達成に向けた最近の進展が今後も続くと予想した」とも記されています。注目されるカンザスシティー連銀が開く経済シンポジウム(所謂、ジャクソンホール会議)のイエレン議長講演会(26 日)においても利上げについての明確な方向性を打ち出すことは無さそうです(9月利上げ確率は高まらない)⇒ジャクソンホールをきっかけとして円安方向へのトレンド修正は難しいと考えられます。その場合、9月の日銀金融政策決定会合での金融緩和縮小への政策転換はますます難しく、長期金利の高止まりも限界があるものと思われます。円高、金利低下はバリューシフトの阻害要因となります。

*それではグロースの逆襲はあるのか?⇒小型株を中心に空売りをかけている投資家(HFから個人投資家まで多様)の動向がポイントとなります。7月の日銀金融政策決定会合でETF の倍額購入(年間6兆円)が決定されてから日経平均株価の下値硬直性が高まると同時にボラティリティが低下しています。従来、日経平均先物等を売り崩すことにより収益を上げていたHF等の短期投資家は収益源を失ってしまいました(下値が硬く、先物売りは大きなリスク)。そこで考えた収益源が、割高株の空売りです(特に小型株)⇒長期金利の上昇等が最小分散指数離れにつながる可能性もあり、内需グロース株の利益確定が加速する流れも利用され(1Q好業績で材料出尽くし)、広範な好業績で割高(PER、PBR が高い)に買われていた小型株に空売りが仕掛けられました。先週は米調査会社シトロン・リサーチが出した調査リポートがきっかけで(7779)サイバーダインが急落しました(適正価格300 円とかなり扇情的)。また、(7618)PCデポもSNS 上の一部ツイートをきっかけに暴落、業績発表後の高値から約35%下落しました。この2銘柄は氷山の一角に過ぎず(空売りのきっかけ、材料は何でも良い)、かなり広範に過度な空売りが入っています(空売りはいつか買戻さなければならない)。買戻しのきっかけは、おそらく想定外の事象です⇒注意深い観察眼が必要です。

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