FM 今月のポイント(2016年6月)
*薄商いながら5月末には日経平均株価が17200 円台を回復したものの、6月に入り108 円台までの円高が進行して16500 円水準まで押し戻されています。今更ながら、円高にセンシティブな相場状況を嘆かざるを得ません。6月16 日には日銀金融政策決定会合があり、通常では日銀プレーが横行する時期を迎えていますが(4月においてもシクリカルバリューのリバーサルが顕著)、円高によりバリュー株の頭が抑えられています(5月末にかけて5日間程度バリューの逆襲が見られた)。英国のEU離脱を巡る世論が賛否拮抗していることが、ブリグジット(Brexit)リスクを高め、円高傾向をもたらしています。一旦、米国の6月利上げ観測が高まりましたが、ブリグジット(Brexit)リスクを睨んで思惑がしぼんでいます(FFレート先物から推測される利上げ確率は30%から20%に低下した)。期待された日銀追加緩和もトランプ大統領誕生の可能性がある11 月まで温存される可能性が高いと思われます。そして追い討ちをかけたのが、3日に発表された5月米雇用統計です。非農業部門の雇用者増加数が予想を大幅に下回る3万8000 人となりました。この結果を受けて6月利上げの可能性が大きく低下、ドル円相場は一気に106 円台に突入しています。FRB は利上げによる市場へのネガティブサプライズを避けるために4月以降、6月か7月の利上げを徐々に市場に織り込ませることに成功していました。しかし、今回の雇用統計はFRB のシナリオを大きく崩すことになりました(雇用統計発表後の6月利上げ確率は20%から3%に低下)。マーケットは少なくとも9月までは米利上げを巡る不透明感に付き合うことになります。当面は円高傾向と付き合う必要があり、物色も中小型内需グロース優位な展開が継続しそうです。
*先般、発表された安倍首相の消費増税先送りの決断が不評です。安倍首相の6月1日の会見における、消費増税延期の決断に至る説明は非常に苦しいものでした⇒G7伊勢志摩サミットでは世界経済はリーマンショックに近い状態と他国首脳に財政出動を促しておきながら、6月1日の会見では、世界経済は大きなリスクに直面しているが、現時点でリーマンショック級の事態は発生していないとトーンダウンしつつ、消費増税延期の本当の理由が国内需要、特に個人消費が弱いことでありながら、世界経済、特に新興国経済の減速を理由に挙げていました。日本経済の為というよりも7月に行われる参議院選挙の為と捉えられても仕方ないところです。秋以降の大型財政出動を加えても外国人投資家を日本株市場に吸引する力は皆無でした。国内政策を巡る今後のポイントは6月2日に閣議決定した「日本再興戦略2016」の具体的推進です。安倍首相は「アベノミクス3本の矢をもう一度、力いっぱい放つため、総合的かつ大胆な経済対策をこの秋、講ずる考えだ」と語っており、秋の臨時国会で実効性の高い構造改革策の策定推進を期待したいと思います(秋の臨時国会は8月中旬のお盆休み明けにも始まる模様)。
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