FM 今週のポイント(12月21日)
*最大限注目されたFOMC を無事通過しました。想定通り9年半ぶりの利上げが決定されました(25bp 引き上げ)。イエレン議長は今後の金融政策の方向性について「緩やかな利上げが適切な政策」であり「金融政策は依然として緩和的」と強調しています⇒マーケットフレンドリーでありNY株式市場は上昇で反応、FOMC 前の過度な悲観論が修正され世界の金融株式マーケットはニュートラルゾーンへ回帰の動きを見せています。現状においてはNYダウ:18000 ドル、ドル円相場:123 円、日経平均株価20000 円がニュートラルゾーンであると考えています(週末にかけて大きく反動安になっているが、テクニカル的な調整色が強い)。
*先週末は日銀金融政策決定会合の結果発表で国内株式市場は大きな変動に見舞われました。市場の想定通りである「現状維持」ならば、12 時30 分前に発表されるところが、45 分を過ぎてもヘッドラインが確認されず、じわじわと期待感が盛り上がり(追加緩和期待)、先物から買いが入る展開になりました。結局、発表は12 時50 分で、最初に目に飛び込んできたのが「ETF 買入額を3000 億円追加」⇒さぁ、追加緩和と言うことで、わずか5分間で日経平均株価は500 円上昇、19800 円台を超えました(実際はヘッドラインに反応したシステムトレード)。ドル円相場も123円53 銭と1円以上の円安ドル高を示現。しかし、日銀の声明文に目を通し、冷静に考えると日銀の言うところの「補完」があまりにも脆弱⇒ETF3000 億円の買入枠設定は、これまで日銀が金融機関から買入れた個別株式の売却とセットであることが判明⇒瞬時に反対売買(売り直し)に転じ、結局は366 円安と前日の上昇分をすべて吐き出す結果に終わりました。
*今回日銀が補完という「追加緩和もどき」の措置を導入したことで、ある種のサプライズを狙ったとすれば(官邸サイドからの圧力?)、それは短期的には逆効果になった可能性が高いと思われます。マイナーな施策を連ねたことで、日銀はもはやマネタリーベースを大きく増やすような腰の入った追加緩和はできないのではないかという印象を与えてしまったと考えられます(実際に1月緩和への期待感は消えた)。仮に今回の措置を心理的なサプライズ効果を狙った広義の”追加緩和”とすれば、黒田総裁が従前から否定していた「戦力の逐次投入」に他ならないことになります⇒黒田総裁は会見でも今回の措置はあくまで補完で追加緩和ではないというスタンスを貫きました。また状況によれば断固たる措置を執ると今までのように「追加緩和」発動に期待を持たせる発言も忘れてはいません。
*しかし、よくよく考えてみれば、今回の日銀の補完策は黒田総裁が説明するように、「物価安定目標の早期実現のために、必要と判断した場合に迅速に調整できるようにするため」に「今後追加緩和する時の障害を無くすのが目的」⇒マーケットが懸念している「今後、国債を買えなくなり、異次元緩和が行き詰る:追加緩和はできないのではないか?」という日銀政策の限界論を払拭したかったのではないかと思われます。来春の追加緩和期待が高まるのも時間の問題です。
- この資料は、市場の現状の説明資料の一部としていちよしアセットマネジメントが作成し、提供するものです。未許可での使用、複製の作成や発表は法律で禁じられております。
- この資料は、いちよしアセットマネジメントが信頼できると判断した情報源からの情報に基づいて作成されたものですが、過去から将来にわたってその正確性、完全性を保証するものではありません。
- この資料は、投資の参考となる情報の提供を目的としたものであり、個々の投資家の特定の投資目的または要望を考慮したものではなく、また投資勧誘を意図したものではありません。
- この資料に掲載されたデータ・グラフ等は過去の実績またはシミュレーションであり、将来の成果を示唆、あるいは保証するものではありません。また、記載された見解等の内容はすべて作成時点でのいちよしアセットマネジメントの判断であり、今後予告なく変更されることがあります。
- 有価証券投資は、株価の変動により、または発行者の経営・財務状況の変化及びそれらに関する外部評価の変化等により、損失が生じるおそれがあります。
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第426号
加入協会: 一般社団法人 投資信託協会
一般社団法人 日本投資顧問業協会