FM 今月のポイント(2015年 10月)

2015/10/05 <>

*9月相場は大きな波乱を見ました。日経平均株価は一時17000 円を割り込み、昨年末の水準を下回りました。想定外の安値示現は世界的な悪材料の重なりにあります。VWの排ガス規制不正問題の発覚、スイスの資源商社グレンコアの株価急落(資源価格の下落が経営懸念を連想)、サウジアラビアの8兆円の投資資金の引き揚げ観測等が市場参加者のセンチメントを急冷却させました。9月のFOMC 以降、実体経済の悪化に焦点が当たる中で昨年6月以降継続する原油等、資源価格の下落による実体悪が顕在化した観があり世界同時株安(○▲×@ショック)のリアリティを高めました。日経VIは30 超、東証1部空売り比率も40 前後から低下していません⇒極めてボラタイルな状況が続いています⇒突発的な悪材料に注意する必要があります。

*海外発の悪材料が重なる中でマーケット参加者の期待は国内の政策へ向かいます。日銀による追加緩和(今月は7日、30 日と2回金融政策決定会合が開かれる)、補正予算、法人税減税、TPP 交渉妥結等々です。安倍首相が提唱している「新三本の矢」、「GDP600 兆円」が言葉先行気味で早く具体策が欲しいところです。しかし現実は厳しく、来年の参院選、消費税再増税を考えると日銀の追加緩和にしても経済対策の発動にしても満を持する必要があり、早期具現は難しいと考えてよいと思います(10 月追加緩和があればサプライズ)⇒安易な期待感は禁物。

*それでは年末にかけて一段安を想定する必要があるのか?⇒日経平均株価ベースで16500 円程度が下値の目処で、年末は20000 円台奪還の可能性が依然として高いと考えています。海外景況感の悪化観測、国内7-9 月期のGDP マイナス等により下期業績下振れの懸念が大きくなっていますが、好調な足元の現状をベースに冷静に客観的に考えれば日経平均株価17000 円割れが妥当となる業績悪化は想定できません。現状では過剰なリスクオフによりマーケット参加者のセンチメントが萎縮しているため、中間期での上方修正を素直に評価することができません(企業側は下期以降の不透明感から通期の上方修正をしない:下期に対して極めて慎重なコメントが多くなる)。ただし、10 月以降の世界の景況感、為替水準が現状よりもシビアにならない限り、マーケットの業績再評価の機運が高まるものと思われます。

*10 月2日に9月米雇用統計が発表されました。非農業部門雇用者数増加が前月比14 万人と予想の20 万人を大きく下回りました。結果的にNY株式市場は利上げ観測の後退から上昇で終了しましたが、発表直後には景況感の悪化が売りを呼び、NYダウは一時250 ドル以上の下落を見ています。当面は米国景況感の方向性にセンシティブな相場展開にならざるを得ません。また、仮に年内の利上げ無しを材料に上昇に転じたとしても力強さを欠く展開が予想されます。世界的な過剰流動性拡大と米国景況感の強さが揃って安心感のある(ボラティリティが低下)上昇相場が期待できるからです。しばらくはきめ細かな繊細なタッチが必要です。

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