FM 今月のポイント(2015年9月)

2015/09/07 <>

*想定外の下落局面が続いています。日経平均株価の9月4日の終値は17792.16 円です(一時、8月26 日のザラバ安値を下回る17600 円台まで下落)。FOMC を前にマーケット参加者は身動きが取れない状態に陥っているようです。中国の景況感悪化観測を背景とした世界的なリスクオフ状況はFOMC(9月17 日)通過まで終わりそうもありません。注目されているFOMC では利上げ見送りが濃厚になってきました。9月3日のECB 理事会後の記者会見でドラギ総裁は追加緩和の可能性をにじませていました(景気予想と消費者物価予想を下方修正)⇒世界的な景況感下ぶれリスクが高まる中で米国が早期利上げに踏み切ることは難しいと思われます。

*8月中旬までの世界的な株高の背景は過剰流動性の拡大と米国景況感の改善持続です。ここにきて株高フレームワークが揺らいでいるのは米国の景況感改善傾向に疑念が生じているからです(中国の悪化が米国の足をひっぱる)。一方、過剰流動性の拡大にブレーキがかかることは想定できません。前述のECB しかり、日銀の追加緩和観測も高まっています(GDP ギャップが▲1.7%まで拡大)。さらに中国もQEの領域まで踏み込む可能性が高まっています。従って、現状の株安を止めるきっかけは米国にあります⇒9月にスパッと利上げして米国の景況感の強さを証明することが一番良いと思います(イエレンさんの自信がポイント:恐る恐る利上げするとは思わないが)。仮に9月の利上げが諸般の事情で難しい場合でも、年内の利上げの方向性をマーケットが確信できれば株安は止まると思います(諸般の事情をきめ細かく説明することが大事)。

*その文脈で大いに注目された8月米雇用統計は「利上げの時期について何も明らかにしなかった」とマーケットに評される内容でした。非農業部門雇用者数は17 万3000 人に留まり、事前予想の22 万人を大きく下回りました。ただし、失業率は前月の5.3%から5.1%に大きく低下しています(2008 年4月以来の低水準)。金融政策変更の市場予想である「Fed ウオッチ」によれば、9月利上げの可能性は27.4%から18.9%に低下しています。一方で、「タカ派」として知られるリッチモンド連銀総裁のラッカー氏は改めて早期の利上げを主張しています。雇用統計を通過して利上げをめぐる思惑がますます混迷度を深めてしまいました。マーケットが一番嫌いな不透明感が増しています→FOMC まで重要なポイントは、FRB が中国経済の減速が米国経済や市場に与える影響をどのように認識しているかです。当面はリスクオフ状況の中でボラティリティが高まるリスクに注意が必要です。

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